るーと

すずめの戸締まりのるーとのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

3.11以降はずっとそれを意識してきたという新海監督。今作は関東大震災から100年でもあり真正面から震災を描いてきた。
名字の宗像と岩戸、扉の向こうは常世。人間には如何ともし難い力、神を想起させる。

なんなのー、無理無理ー、って言っていたごく普通の高校生のすずめが巻き込まれていくありがちなストーリーだが、震災で幼い頃に母を失っている。
正直なところ、戸締まりを移動しながらしていく過程を若干冗長に感じ、ダイジンが実は神で、扉の開いた場所を教えていたことが草太の祖父の発言で分かるが、なぜダイジンは敢えて説明しなかったのか。そして、要石に戻ることを拒否していたダイジンが結局また要石になる。ちょっと1人では理解・解釈しきれない部分が多かった。

すずめは序盤、死ぬのが怖くないと連発していたのが印象的だった。特殊能力を持った草太は一度は要石になり犠牲になるが、生きたいと強く願っていた。この作品も、生きることと死ぬことが基底にはある。

環さんの思いがつい出たシーン。人は誰しもいろいろ思うことはあるし、ふとしたことから、時として心の中の「要石」により抑えられず、表出してしまうこともあるけど、それだけじゃないということも分かり合っているのであれば。環さんとすずめの間にもそれだけの信頼関係があったということなのか。

東京駅で中央線のホームに行き、御茶ノ水で降り、思いっきり馴染みの風景が。丸の内線が地上に出るところ見たら思い出しそう。

【追記】
なるほど。すずめのダイジンに対する「うちの子になる?」と、環さんのすずめに対する「うちの子になろう」を重ねるのか。
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