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すずめの戸締まりのmariaのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

3.11を直接的に利用すべきでなかった。
「君の名は」も「天気の子」も災害を軸に置きながらも、それは3.11そのものではなく、作品の一部として創られた出来事だった。それが今回は、はっきりと3.11だと示され、当時を想起させる演出が盛り込まれた。
それは当時の記憶を持つ者たちの想いや、その後の世に震災が与えた衝撃を無理やり劇中に引き摺り出す行為であって、中途半端にその力を借りてはいけない。
すずめは震災によって幼い頃に母親を亡くした遺族だけれど、現在の姿は無邪気で明るい女子高生だ。すずめがそのように成長できたことは、ものすごい重みを伴うことのはず。あれほどの大震災を持ち出しておきながら、そういった点の掘り下げが浅すぎはしないか。
3.11は、まだ並大抵のフィクションに落とし込める史実にはなっていないと思う。だから直接扱うのであればドキュメンタリーレベルまで人々の苦しみや10年の時をどう過ごしたかを掘り下げるべきだし、ファンタジー作品に仕上げたいのであれば、災害の部分もきちんと作品世界のものとして創作しなければならなかったと感じた。災害の大きさに見合うだけの作品に昇華できていない。

すずめは叔母に「うちの子に」と言われてたっぷりの愛情を受けて育ったのに、
そのすずめが軽率に発した「うちの子に」に振り回されてダイジンは大暴れし、挙句すずめはその言葉に何の責任も持たず、最後はまた石にされてしまう…という可哀想すぎる対比も、すずめが能天気ハッピーちゃんに見えてしまってうーん、、
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