湯山敬

すずめの戸締まりの湯山敬のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5
草太役のジャニーズの人は客寄せ起用かと思ったけど意外に良かった。まあ新海作品で今更客寄せってことはないわな笑

個人的にこの作品で一番良かったのは音楽、追加された音楽担当(陣内さん)のおかげか知らないけど好みの音楽が多かった。


ストーリーは面白かったし、今までと違って色んな地方に行くのは良かった。ただ地方のリアルな設定に拘ってた分、ファンタジー側が設定不足だったのは残念、特にミミズの説明が常世にいる“何か”で済まされたのは納得いかない。確かに大体の見当はつくし調べると分かるから、あえて詳しく設定しなかったんだろうけど、震災を“ちゃんと”描くのならもっと分かりやすく言及すべきだった。


前作の『天気の子』と同じくらい面白かったけど、今作は前作たちと違ってモロに東日本大震災を意識した作品だから少しマイナス。
別にテーマにすることは悪いことじゃないけど、19年の『薄暮』といい21年の『岬のマヨイガ』といい、ここ数年で東日本大震災を題材にした作品が多すぎる。実写も含めるともっとあるし、約10年経ったから題材にしやすくなったんだろうけど、さすがにウンザリする。


少し前に「異世界転生」作品が増えすぎて同じようにウンザリしたけど、その感覚に似てる。もちろん震災と流行りモノを一緒にしちゃいけないし、この作品の場合、地方問題も描かれてるから上で挙げた2つと違って震災だけがテーマではないけど、「実際の災害」っていう稀有なジャンルがこうも続くとさすがに飽きるし、伝えたいことも『岬のマヨイガ』と似た感じだったから、観てて既視感が凄かった。
ただ『岬のマヨイガ』はアニメーションに見応えはないしストーリー設定も薄かったから、この作品と違って低評価にしたけど、もしあれが無かったからこの作品の評価はもう少し上げてたかもしれない。


新海作品面白い順(この作品まで)。
『言の葉の庭』>『天気の子』>『すずめの戸締まり』>『雲の向こう』>『星を追う子ども』>『君の名は』>『秒速』>『ほしのこえ』
湯山敬

湯山敬