Aki

すずめの戸締まりのAkiのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.9
自然光のきらめきや、マジックアワーの淡く幻想的な光の色彩がすごく印象的な映像。作画や映像の美麗さにおいては、間違いなく日本的アニメの一つの頂点だろう。

OPタイトルの出方が良い。
お返し申す。


個人的には新海誠作品はボーイミーツガールでセカイ系的なストーリーの作風と捉えてきたが、本作ではそれに留まらず災害や喪失といったナラティブを主人公の成長に添わせて描いていて素晴らしかった。
個人的な好みは置いておいて、本作で新海誠は映像とストーリーにおいて過去イチの打点を叩き出している。
また、過去作に見られたような音楽のMV的処理などが無くて、個人的にこの点も良いと思った。


災害をミミズとして可視化させ表現しているが、まさに災害が起こる臨界点を迎える間際の表現が悪夢的で恐ろしい。
フィクションの中でも現実でも、日常が破壊されるその瞬間/寸前までは誰もそのことには気づかず普通に日々を過ごしているのであって、本編で日常の安らかさと災害の恐ろしさが繰り返し対比して描かれ、その度苦しい。
特に東京のパートで示唆されるそれは暗黙的に皆が理解している筈だが触れずにいるいつか来るその日を想起させるし、岩手パートは直接あの日あの時を描写している。


4本足が一つ欠けたイスはつまり欠損があるってことだろうけど、すずめは欠けたそれを抱えて受け入れる。その欠損をも一生大事にして生きていくということなのだろうと受け取った。


EDもジャスト戸締りしている演出ですごく良い。


寝ている間にキスして云々的な感覚とかは気になる。それなりのエクスキューズが無ければ危うく見える。正直無しだろ。


2024.04.05@金曜ロードショー
火曜日にすずめの戸締り展を観てきた。
TV初放送、エンドロールに設定画。
ネトフリ配信開始告知有り。
帰省中。
Aki

Aki