新海誠ディザスター3作目。
人の生死は運かもしれない
でも、ただ生きていい
そんな“明日”へのエールを、震災孤児がアイデンティティを見つめ直すロードムービーの中に落とし込む。
エンタメに昇華しなければならないという監督の命題の通り、魅力的なアニメーションとして“震災後”を訴えたのは、実際にあの日を経験した全ての人に悼みと希望をもたらしたことだろう。
「電車に乗り降りする時の気分とか、コンビニに入った瞬間の気持ちの動きとか、そういう日常的な感情を元に物語を語ることをやってきました。ただ、自分がそれまでやってきた日常ベースの感情表現と、2011年に受けた大きな衝撃が自分の中で交じり合ってできたのが『君の名は。』です。『君の名は。』で一千万人という数の観客に初めて出会い、『君の名は。』の反響を受けて何かをレスポンスしなければという気持ちでつくったのが『天気の子』。そこで再び自分に戻ってきた言葉に対する応答としてつくったのが『すずめの戸締まり』なんです。」
この10年の時代や文脈を振り返ると改めて『君の名は』を観たいという気持ちも出てくる。
作を追うごとに、自分の東京の街並みへの理解も、考えや価値観も死への態度も変わっていることを自覚できて、いい鑑賞体験だった。
1点だけ疑問なのは、主人公のエンジンの比重としては、男の顔の良さ、母の形見を取り戻すため、どちらが大きかったのか笑
「行ってきます」の幸せよ。