このレビューはネタバレを含みます
ジリジリとした田舎の暑い夏、紅葉の茂ったトンネルの中、森の中の木陰、急に降り出す雨など風景の描写が綺麗。音楽もマッチしていて良かった。ラストシーンや途中何度かここで音楽を爆音で流してくれたら泣きそうなのにと思う箇所があった。ストーリーは伏線がいくつかあって楽しめた。共同戦線を結んだ2人が梅雨から夏にかけて距離を縮めていく様子が青春だった。
ボタンを押すときのポチポチや閉じる時にパタンと鳴る音、アナログ画面に懐かしさを感じるガラケーが長い年月を経た2人を繋ぐキーアイテム。たったの10秒がウラシマトンネルでは6時間半。貴重な青春の時間を、大切なモノを取り戻すため、欲しいモノを得るために惜しみなく費やす。
冷静沈着でどこか寂しげ、理不尽な大人に揉まれて少し世の中を俯瞰しているような似た者同士の2人だから惹かれ合ったのかも。
雨の日駅のホームで初めて出会った2人が交わしたそっけない言葉のやりとりを、晴れた青い空の下同じ場所で繰り返す。渡した傘を向日葵に変えて今度は笑顔で。好きな場面。
試写会の帰り道、パラついた雨にテンションが上がり少し寄り道して帰った。