Yoshishun

夏へのトンネル、さよならの出口のYoshishunのレビュー・感想・評価

3.8
自分の欲しい物が手に入るが、踏み入れると1秒につき外では約1時間の時が流れるウラシマトンネル。そのトンネルを見つけた2人の高校生の欲するものとは?を描いたSF青春アニメーション。

83分という短尺ながらもトンネルの構造の説明は懇切丁寧ではあるし、パッと出のいじめっ子や親友との関係性は省略しながらも、塔野と花城の2人に絞ったことで物語も停滞することなく進んでいく。見た目はポエミーな新海誠映画を彷彿とさせながらも、執拗にポエムを披露することもなく、やはりこの尺の短さが見易さに繋がっているように思う。塔野の選択と決意というのも、単に大切な人の喪失から立ち直るだけでなく、喪失した人が背中を押すというエモーショナルな展開になっている。

台詞の臭さや敢えてそもそも下手に聞こえる演技も散見される欠点はあるものの、シンプルでありながらも確かなメッセージ性を秘めた面白さはある。
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