みゅー

生きる LIVINGのみゅーのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
Filmarks試写会にて。
転職してから、なかなか試写会に参加できていなかったので嬉しい。

観終わった後、今年ベスト10入りは間違いない、と思える作品だった。

黒澤明監督の『生きる』を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイクした本作。
オリジナル版は未鑑賞。
本当はそちらを観てからリメイク版に臨もうと思っていたけど、急遽試写会に参加できることになったので先にリメイク版を観ることに。

余命宣告をされた男性が自分の人生と向き合う、的なストーリーだということだけ知っていて、彼が公務員とかそういう細かい設定は知らなかった。

人生に意味なんて求めずただただ毎日を過ごしていた彼が充実した人生を取り戻そうとする。
今まで時間つぶしのようにふわ~っとした仕事をしていた彼が、変わろうとし…。

オリジナル版を観ていないので、その部分がこの作品ならではなのかどうかは現時点では分からないけど、話の構成・脚本が完璧だった。
それ故に、後半はずっと泣きっぱなしだったし、その見せ方に魅せられた。
あの暗転、暗転後のシーン、意味を理解した瞬間から涙が止まらなかったし、どう展開していくのかがとても気になった。
そして気になった部分すべてをしっかりと回収してくれて、エンディング入った時の余韻もすごい。

ビル・ナイの演技が本当に良かったし、中でもベンチに座って苦しそうにする姿、息子夫婦に伝えようと鏡の前で練習する姿、ラストシーンのどこか満足げな姿は印象に残ってる。

オープニングの時代を感じさせるフォントや映像も好きだったし、音楽も控えめでありながら印象的で好きだった。

オリジナル版の144分から大幅に短くなった103分という上映時間だけど、物足りなさはなかった。
そして鑑賞後の今、あえてオリジナル版を先に観なくて良かったとさえ思ってる。
とりあえず近いうちに観ようとは思っているけど。

久しぶりに長文になってしまうくらい余韻の残って、とにかく好きで溢れていて、心穏やかになれる、そんな作品。
みゅー

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