はらだしんじ

生きる LIVINGのはらだしんじのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.8
原作である黒澤明「生きる」は
高校生の時に鑑賞し、とても感動した記憶があり、
カズオイシグロ脚本、主演ビル・ナイと間違いないスタッフィング。公開されてすぐに劇場で鑑賞しました。

所感
ストーリーは原作からあまり変わったところはなく、登場人物、役割も変わらない。それは悪い事ではなく原作をリスペクトして、壊さずに少し味を変えるのみにしており好感が持てた。
また、同時に黒澤明の偉大さも今作を通じて改めて感じた。脚本、画面の構図、動き、編集、どれもがとても高い完成度で作られており、それは現代のイギリスでも古典として大きな影響を与えていることがひしひしと伝わった。

リメイクの完成度はとても高い今作の中で、個人的に一番大きなオリジナリティは画面の色彩ではないか?と思った。
原作はモノクロのため、リメイクを作るにあたってどのようなグレーディングにするかは、さまざまな選択肢があったと思う。
今作のシャドーの割合、落ち込ませ方がとても印象的で、クラシカルに見えつつもカラーは現代の技術を持って出てきている色だと感じた。
ストーリーを知って鑑賞した身からすると、色彩が常に新鮮みを与えてくれていたと思う。