あつお

ハムレットのあつおのネタバレレビュー・内容・結末

ハムレット(1996年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

不朽の名作ハムレット。
アダム・グラント著のオリジナルズにおいて、ライオンキングは動物版のハムレットである、との記述を読んで兼ねてより気になっていた。原作を読んでみたものの、セリフだけの訳であり、どうもイメージが付かない。僕自身、文章よりも視覚的なイメージの方が記憶に残りやすいタイプなので、映画版を探してみた。アマゾンプライムでたまたま残っていたのがこのバージョンだ。他の作品はどのような内容なのだろう。また時間がある時に視聴してみよう。
作品の内容はライオンキングと同様。ハムレットが父ハムレットの復讐を果たすストーリー。物語は夜な夜な現れる亡霊についてのシーンから始まる。その亡霊とは、つい最近亡くなった父ハムレットだ。亡霊とは、この世に未練があるために地上に残った存在なのだろうか。死を受け入れられずに、この世をさ迷うものなのか。この場合は、この世に生きる者に、とあるメッセージを伝えるために現れた。それは、自身が新国王「クローディアス」に殺害されたこと。王室内では新国王誕生にお祝いムードであるが、その裏に潜む真実を伝えようと故ハムレットは現れたのだ。それを聞いた息子ハムレットは復讐を決意する。
息子ハムレットは狂気を装い復讐の機会を探る。皆はハムレットがオフィーリアに対する恋心のために錯乱していると思い込むが、そうではない。それはハムレットの演技にすぎないのだ。やがて、クローディアス自身もハムレットの復讐心に気付き、対抗馬を打つ。ハムレットに毒を盛るために2重の対策を打った上で、その計画を実行に移したのだ。
しかし、復讐心とは何と儚いものだろう。それは諸刃の剣。相手を気付けるためには、自身もそれ相応の犠牲を伴うものなのだろうか。毒を持ったクローディアスは、自身の策のために愛するガーツルードを失う。更に剣先に毒を塗り、ハムレットの殺害を試みたレアティーズ自身も、その剣により自らを傷付けられる。殺戮が繰り広げられる中、クローディアスはハムレットにより殺害される。
「Think CIVILITY: 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である」では、無礼は他人に伝染すると言う。他人に対する復讐心も同様に伝染するのだろう。何事も無ければ平穏な人生を送っていたはずの王室の人々。最初は権力を得るための殺害行為だったのかもしれない。それにより束の間の快楽を得られた。しかし、それも長くは続かない。誰かの妬み・嫉みを買っては幸福には生きられない。必ず犠牲が伴うのだろう。
常に現状に感謝し、自分の持っているものに満足して生きようと思う。理想を追い求めて、完璧な人生を追求していては永遠に満足しない。そう思える作品でした。
あつお

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