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『Il momento più bello(原題)』に投稿された感想・評価

YT. 24-162(161はモニチェッリ『Il medico e lo stregone』)。イタリア語版、字幕なし。マストロヤンニ祭り。

 監督のルチャーノ・エンメルとは『八月の日曜日』(1950)、『パリはいつでもパリ』(1951)、『スペイン広場の娘たち』(1952)、『Il bigamo(重婚者)』(1955)に続く5本目。

 タイトルの「il momento più bello」は「もっともすばらしい瞬間」。出産の瞬間を含意するのだけど、伝統的には「産みの苦しみ」に耐えなければならない時。けれども、新しい革命的な無痛分娩の登場によって、文字通り「すばらしい瞬間」になってゆくまで描く。

 無痛分娩(parto indolore)には二種類ある。ひとつは麻酔薬を使うもの。いまひとつは「精神予防的な方法」(metodo psicoprofilattico)と呼ばれるもので、映画のなかで描かれるのはこちら。その起源はロシアのニコライエフ医師よるもので、これが1951年ごろにフランスに紹介され、そこから日本では「ラマーズ法」として知られる呼吸法や運動療法へと発展してゆく。

 ニコライエフの著書が『Teoria e Pratica del Parto Indolore(無痛分編の理論と実践)』としてイタリアに紹介されるのは1956年みたいだけど、ちょうどこのころローマ法王ピウス12世は「教会は陣痛や出産における苦痛の予防に反対するものではない」と宣言している。セルジョ・アミデイの原案はそんな時代的な背景のなかで生まれたのだろう。

 マストロヤンニが演じるのは若き医師フランチェスコで、その恋人で看護師ルイーザの依代がぼくの大好きなジョヴァンナ・ラッリ。ふたりはエンメル監督との前作『Il bigamo』(1955)では夫婦を演じているのだけれど、ここでは体現してくれるのは医者と看護婦の恋。フランチェスコは若くて真面目なのだけど、お金に余裕がなく、それゆえに少しばかり無責任。こういう男を演(や)らせるとマストロヤンニは抜群によい。

 一方のラッリは優秀な看護師なのだけど、家庭環境は父と娘の父子家庭。しかも父親は再婚を考えているという設定。彼女も裕福ではないのだけれど、あろうことかフランチェスコの子供を身籠もってしまう。それを知ったのはフランチェスコがパリに「精神予防的な無痛分娩」の講習に出かけたあと。しかも、ふたりの関係は秘密。よくある職場恋愛なのだけど、同じ病院の医者と看護師とはいえ、カトリック系の病院というのもあったのだろう。

 こうしてラッリの演じるルイーザは、相談する相手もおらず、フランチェスコに手紙では伝えられず、電話もできないままに2ヶ月がすぎてしまう。妊娠を告げるとフランチェスコは困惑を隠せない。結婚はしたいけれど今の状態では無理。しっかりと派遣医となって家を持てるようになってからじゃないと言うのだが、それは彼女に堕胎してほしいということにほかならない。

 しかしイタリアでは堕胎はまだ禁止されていた。やるなら非合法的にやるしかないけれど、ルイーザにその気はない。こうして彼女は病院を辞め、友人の助産婦マルゲリータ(マリーサ・メルリーニ)のもとに身を寄せる。歓迎されるルイーザ、ふたりは本で学んだ「精神予防的な無痛分娩」のレッスンを始める。

 一方、ルイーザに別れを告げられたフランチェスコのほうも病院で同じ「無痛分娩」のレッスンを始めるのだが、彼の方は失敗に終わる。一方でマルゲリータとルイーザの助産室でのレッスンは順調に進み、ついにはフランチェスコの病院で出産するところまでこぎつける。

 病院の看護師や医師はまだ半信半疑。一例も成功を見たいことがなかったからだ。そこで、マルゲリータを助産婦に呼び戻しフランチェスコと協力して、なんとか無痛分娩に成功する。

 それまで猜疑心に満ちていた病院の雰囲気も変わる。主任看護婦も分娩室に見学に来るし、妊婦たちもその話題でもちきりだ。そこに病院付きの神父が現れるとこう質問される。

- 神父様、無痛分娩をすることは可能なんですね。
- そうであることを望みますよ。
- それでは許されるのですね?
- そうでないわけがないじゃありませんか。
- けれども、福音書には「女よ、お前は苦しみとともに出産するのだ」とありますよね。
- 福音書ではありません。旧約聖書です。イン・ドローレ・パリエス・フィリオス(In dolore paries filios.)。あなたは苦しみの中で子を産むであろう(創世記 3章16節)。つまり母親になるというのは、女性たちに苦しみをもたらすだろうということであって、出産とともに苦しみが始まるということではないのです。

- Dica, reverendo, allo si può fare questo parto indolore.
- Speriamo di sì.
- Allora è permesso?
- Perché non dovrebbe esserlo.
- Ma il Vangelo dice che tu donna partorirài con dolore.
- No, non il Vangelo, il vecchio Testamento. 'In dolore paries filios', (Gen. 3,16) . Tu partorirai nel dolore. Cioè la maternità procurerà alle donne molti dolori ma non è detto che i dolori incominciano con il parto.

 そうなんだよね。母親が苦しむのは、父親もだけど、子供が生まれてからのほうがずっと大きいんだよね。小さな子供は小さな問題を、大きな子供は大きな問題をもたらすのだから。だから出産を無痛で行うことになんの問題もないというのだけれど、これはカトリックの意識が変化したということでもある。実際それまでは、無痛分娩に懐疑的でもあったわけだから。

 ともかくも1960年代を前にしてイタリアは大きく変化しようとしていた。無痛分娩も許されたし、時間はかかるけれど、堕胎も、そして離婚も許されるようになってゆく。女性の地位が少しずつ変化していたのがこの時代だったと考えても良い。そうした時代の変化を背景にして撮られた娯楽作品が、この恋愛映画だというわけだ。

 あとはフランチェスコと身重のルイーザの関係がもとにもどればよい。すれちがいながらも、なんとかハッピーエンドへと進んでゆく二人。地下鉄の駅でもう少しでゆきちがいになるところなんて、なかなかの見せ場。1955年に開業したばかりのローマの地下鉄。あれは白にブルーのラインが入っているやつなのだけれど、フランチェスコは反対のホームにいるルイーザを見つけて階段を駆け上がると、切符も買わずに、出発寸前の列車に飛び乗るのだ。

 ローマはどんどん新しくなってゆく。無痛分娩と地下鉄。だからフランチェスコとルイーザにも新しい未来が待っている。それはあの「最も素晴らしい瞬間」に続いて開かれるというわけだ。

 けれど「なんじは苦痛の中へと産み落とす」という言葉も忘れてはならない。ハッピーエンドのエンドマークの向こう側で、あの「甘い生活」という名の虚無と虚栄が待っていることも忘れてはならない。
  
最も美しい瞬間
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