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エンパイア・オブ・ライトのsonozyのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
5.0
1980年代初頭。イギリスの海辺の町マーゲイトにある映画館「Empire」で働く人々を中心に繰り広げられる様々な人間模様。

過去のトラウマから統合失調症を抱え、職場でもある悩みを抱えるマネージャーのヒラリー(オリビア・コールマン)
大学で建築を学ぶ機会を奪われ、もぎりで働くことになった黒人青年スティーヴン(マイケル・ウォード)
この二人の心の交流を軸にしつつ物語は展開しますが、さすがの名優オリビア・コールマンとマイケル・ウォードのパフォーマンスが素晴らしい作品でした。

予告編
https://youtu.be/CxQeGdR10eo

極右集団による黒人差別と暴力、セクハラなどの問題も絡みつつ、ヒラリーが引用する詩も効いていて、心動かされるシーンがそこかしこに。

海辺に面した映画館「Empire」のロケーション、外観、内装が素敵すぎる。
封鎖されていて鳩に占拠されているScreen4でのヒラリーとスティーヴンの鳩にまつわるエピソード、大晦日の夜、ルーフトップでの2人の時間…最高。

※2007年に封鎖され現存する「Dreamland Cinema」という映画館みたいです。

サム・メンデス監督が『1917 命をかけた伝令』でもタッグを組んだロジャー・ディーキンス撮影による映像や、サウンドトラックも素晴らしい。

映写技師ノーマン(トビー・ジョーンズ)のキャラや映写室に貼られた往年のスター達の写真。
チケット売り場担当のニール(トム・ブルック)や、スティーヴンと共にもぎりをするパンクな女子シャニーン(ハンナ・オンスロー)、看護婦をしているスティーヴンのお母さんもいい味。
コリン・ファース、本作ではクソな支配人エリス役で登場です。

※ピーター・セラーズ主演の『チャンス(Being There)』が改めて見たくなります。

※スティーヴンが聴いていた、1970年代の英国で流行ったというパンクとスカが融合した”2 tone”というジャンル、初耳でしたがいい感じ
Do Nothing (The Specials)
https://youtu.be/4T7UqnPkUt0
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