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エンパイア・オブ・ライトのyokoのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.0
なんかハートウォーミングなぬるい映画になりそうだな〜と思いかけた刹那に手コキのシーンわかってますな。最初はセックスじゃなくて手コキだよね?ついついランティモス師匠の映画思い出すがw絵的にはそこまでショッキングなシーンはなく上品に進んでいく。

いうて誰からも理解されない糖質主人公映画かと思いきやそうではない。コリン以外はだいたい主人公の機微を読み取って優しい言葉をかけてくれる。安い映画なら普通シンディローパーみたいなギャルと黒人をめぐって一悶着起こすじゃない。そういうのはありそうでない。サムの上品さの表れだろう。あのオタクっぽいメガネも映写技師も絶妙な甘噛み具合を演じてる。

そこが上手いだけに黒人差別するヤングが雑にカリカチュアされているのを感じる。黒人差別は良くないという錦の御旗を掲げて雑に悪役に処理してる感じ。まああっち側まで深掘りする必要はないかもしれないが。

プレミアでの演説、拍手喝采にも、ブーイングの嵐にもどちらにもならないふわっとした着地が監督の持ち味なんだろうな。カタルシスよりハシゴを外すのが好きな感じ。カムバックパーティの後の惨劇など。あと意味深なシーンが何の意味もないみたいな。

映画讃歌映画が好きじゃないのは作り手が観客に甘えが見えるのと、観客が映画讃歌を評価している自分に酔っているのがレビューなどで上乗せされちゃってる感じが透けて見えるから。それがあまり好きじゃない。

しかしまあ許せるのは映画史網羅しまっせ的な下品さ、この小ネタの引用どうよセンスありまっしゃろ的な押し付けがましさがないからだろう。あの映画館での表情全くウザく見えないのがすごい。あれをクライマックスとして成立させる監督とオリヴィアの力量と自信に脱帽。



トレントレズナーはなんでスコア制作にハマってるのかよくわからない。毎回ブライアンイーノ調のピアノに不穏なノイズ少々といった感じじゃない?まあ解説にトレントの名前が出てたのでティモシーシャラメの映画と迷ってこっちにした。新譜もそろそろ出してクレメンス。
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