樺太柳葉魚

エンパイア・オブ・ライトの樺太柳葉魚のレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.3
海辺の映画館エンパイア座で働くヒラリーはたぶん50代。独身。家族はなく、一人暮らし。クリスマスにきちんと讃美歌を聴きながら、クリスマスっぽい食事をしている姿を見て、丁寧に暮らしてるな、と思った。家族がいるならともかく、一人だったらクリスマスらしい事なんかしないですよ、私なら。日本人とイギリス人の違いかもしれませんが。ヒラリーはエンパイア座のオーナーと不倫関係。ある日、黒人の素敵な青年スティーヴンがエンパイア座で働く事になります。しかし1980年代、イギリスは黒人差別が社会問題になっています。スティーヴンは大学に落ち、将来に迷いながらも明るく生きている。ヒラリーは彼に惹かれていく。親子程年齢差のある二人ですが、徐々に距離を縮め、やがて深い関係に。しかし映画館で関係を結ぶのはいかんでしょう。同僚に知られるのですが、彼は親切にこっそり忠告してくれます。これがきっかけで二人の関係にヒビが入り…。熟女と青年の性愛ストーリーではなく、精神的に病んでいる孤独な女性ヒラリーと、黒人というだけで不当な扱いを受けるスティーヴンの、生き難さを抱えた二人が互いを理解し合い、衝突し、また歩み寄りながら、それぞれの生き方を模索していくストーリーです。映画館の仲間達も個性が強くて素敵。それぞれの背景を想像させてくれる面々でした。映画観た後、海へ行けるなんて最高。観たばかりの映画の事をしみじみ考えながら海辺を散策。羨ましい。
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