ピートロ

エンパイア・オブ・ライトのピートロのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.9
メンヘラおばさんと黒人青年の交流。
一見地味な雰囲気ながら不思議と飽きさせないしっかりとした作りで、しかも単純な感動ポルノでもない奇妙な味わい。
海辺の街や映画館の美麗な映像やキャストらの名演技に酔えた。

他のユーザーの感想・評価

OT

OTの感想・評価

-
オリビア・コールマンは本当にいつも凄い。要所要所に良い言葉がある映画だった。そしてスペシャルズを聞きたくなる。
 映画館のレトロな雰囲気がとても良かったです。コリン・ファースも、意外な役どころで、新鮮でした。

 が、肝心のストーリーは、わりと普通というか、黒人差別がメインの歳の差恋愛モノ。珍しい取り合わせではありますが、とくに惹かれるようなメッセージ性もなく(生まれた環境で夢を諦めるな的なものはありましたが)、淡々と終わった印象です。

 とにかく、あんな映画館があったら行きたいなあ、と思わせてくれる作品でした。
ミオ

ミオの感想・評価

3.0
気持ち沈んでて優しそうなやつがみたいなと思って選んだけど、現実的に感じる辛いパートがちょっと多かった
見終わったら何故か絶望感は薄れててよかった

映像が綺麗なのとロケーションが最高すぎる
ここの映画館に行きたいです
兎に角全編映像美がえげつねえですわ。
(設定上あり得ないんだけど)男女が逆だったら炎上させられそうなデリケートな内容ではあると思う。
「あの若い仲間が懐かしいよ。手伝ってくれたからね。見舞いには行った?」

「数週間前に」

「その後は?」

「行っていない」

「会っておいで 逃げるな」

「私逃げてる?」

「そう見えるよ─何を恐れているんだ。

 息子がいる 22歳だよ ロンドンに住んで 
 る 8歳の時から会っていない」

「なぜ?」 

「会いたがらない 責められないよ なぜなら私が逃げ出したからだ」

「どうして?」

「何が?」

「なぜなの?」

「思い出せない」

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「人生とは‥心のあり方だ」
いとう

いとうの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ南海岸に構える歴史あるシアターで働く女性と黒人男性の物語。起承転結がしっかりしているなという印象。

エンパイアシアターのロケーションが強すぎる。非常に綺麗。横に広いガラス張りの入り口からはオーシャンビュー。中央に円卓の机で売店が位置している。

雰囲気だけで100点満点出してしまう人もいそう。

父親が浮気、母親が虐待してくるという家庭環境で育った主人公の中年女性。エンパイアシアターの支配人に遊ばれている。幼少期の経験もあり統合失調症のような症状も有しているという抱えているものは多い。

主役の女性の気分の上がり下がりが物語をドライブさせている。周囲のスタッフも理解を示している描写が印象的。

『炎のランナー』の上映前の挨拶で、主役の女性が上がり演説をするシークエンスでは、共感性羞恥を起こそうとするような演出。音がどんどん詰まっていく。マイクがハウリングを起こす。演説中の女性と黒人のバストショットを執拗に繰り返すカットの切り返し。
うどん

うどんの感想・評価

3.8
好きなセリフメモ。
「映画は静止画の連続でその間は暗闇なんだ。だが視神経には小さな欠陥が。1秒24コマでフィルムを回すと、暗闇が見えなくなる。ファイ現象と言う。静止画を高速で連続的に再生すると動いているように見える。命が宿る幻影だ。」
何年か経ってまたもう一回観たい。
hideaking

hideakingの感想・評価

3.8
1980年初頭、イギリスのとある海辺の劇場が舞台。統合失調症の白人女性と親子ほど歳の離れた黒人男性(2TONE好きの設定)の悲哀なロマンスかと思いきや、途中不倫ありいの白人主義のネオナチの襲撃ありいとヒューマンドラマとして見応えあり。
opoko

opokoの感想・評価

3.0
2023/04/30視聴、disney+

2月劇場公開作品が早々に配信開始。
古き映画館の話と聞いていたので、ちょっと苦手なカテゴリーかもと思って見送っていた作品。

主人公が映画館で働いていたけど、特に映画館にフォーカスされた部分は少なく、題名が「エンパイア・オブ・ライト」ならもっと映画フィルムの交換のところや、映像技師の話や、エンパイア館でのプレミアム上映や、そこに働く人の人間模様にフォーカスすればよかったと思う。

本作は、映画館で働く主人公ヒラリーと、夢をあきらめかけて映画館で働くことになったスティーブンの交流。

ヒラリーは心に闇があり、入院、通院歴もある。
映画館の支配人の性的な奴隷になっている部分がある。
ヒラリーの闇の部分を知らず、スティーブンはヒラリーと親しくなるが、
ヒラリーとスティーブンの年齢差がありすぎて、ちょっと引く。
スティーブンのママの気持ちもわかる。

スティーブンが、ヒラリーに言われた「夢を諦めないで」と言う言葉を信じて、大学への進学が叶い、ヒラリーとは離れることになるが、恋愛感情を入れるならもう少し年齢差を狭めてほしかった。
あえて年齢差があることが作品の目的であってなら、私にはその目的はわからない。

それと、ヒラリーに闇が必要だったのか・・・
明らかにスティーブンと離れることになった時、ヒラリーは落胆していたし、メンタルやられてるヒラリーを置いていくスティーブンの気持ちを考えると、明るく前を向いて行けない気がする。

繰り返しになるが、映画館を通じて、映像技師との交流や、人種差別問題、映画館を盛り上げていって、自分の夢を叶えるストーリーのほうが題名はしっくりくる。
映像はすごく綺麗だし、序盤なんてポスタービジュアルになりそうな場面の連続。音楽は安定のトレンドレズナー&アッティカスロス
specialsあたりのスパイスも効いてる。肝心のストーリーがイマイチで中盤あたりで失速
母子ほどに歳の離れた恋愛も微妙。なんだか勿体無い作品でした。
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