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エンパイア・オブ・ライトのrenのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.9
アメリカンビューティー、レボリューショナリーロード、007スカイフォールなど、とにかく好きな映画しかない大好きな監督サム・メンデスの最新作。待ちに待った公開日に午前中から鑑賞。期待を裏切らない心にしみる良い作品。
メンタルヘルス、人種差別、セクハラ、社会情勢への不安などを軸として1980年代を舞台に語られるストーリー。現在にも通じるメッセージがとても伝わってきて、監督の過去作でも重要な要素であった「女性の人生」も軸に丁寧な作劇。
オリビア・コールマンの演技も見もの。なんで笑ってるのに目が淀んでる演技できるんだろうか。
撮影のロジャー・ディーキンスは流石の一言に尽きる。どのシーンを切り取ってもルックが美しい。まだまだ見ていたいという気分になります。
そして1番映画ファンとしても見逃せないのはやはり「映画の存在」について。
1コマ1コマの間の黒があり、1秒24コマ流すと一つの映像になるんだと語るシーンが印象的。世の中すごいスピードで過ぎていくけど、黒の部分を知らないふりしちゃいけないみたいなメッセージにも感じた。スティーブンが、シアターに入って映画を見なよ!とヒラリーに語りかけるシーンがとても好き。

一方、要素盛り過ぎか?とも思える内容だったが、そうではなく実際それが現実で暗い日常にも光を照らしてくれるのは、変わらずそこにあってくれる劇場(映画)なのかなって。監督自身も映画に救われた経験があって、その時の感情をようやく形にしたのかもなんてことも感じられた。
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