70年前のアメリカで実際に起きた事件をベースにした映画で、とにかく終始辛くやるせない話になっている。この頃は口笛を吹いただけで黒人リンチされ、殺害されるような時代であったことに改めてゾッとする。
確かにこういった出来事によって、日本でも教わるキング牧師らも尽力した公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったのは重要なことなんだけど、やっぱり南部で起きたことって現実だとは思えないぐらいの凄惨さだなあと。何なら今のアメリカも人種差別は無くならないどころか平気で行われているような始末。苦しいな。
映画としては非常によくできているなという印象で、とにかく主演のダニエル・デッドワイラーの芝居が素晴らしい。各場面での彼女の感情がしっかりと伝わってくる。時代柄からすると正当なのか、絡みのある白人のほぼ全てが悪人のように描かれているものの、綺麗にまとまった脚本と、シーンに合った劇中音楽と演出も秀逸。こういう作品は自身の見識の浅さを再確認するとともに、きちんと思考させてくれるから積極的に観ていきたいと思う。
195/2023