さよこ

ティルのさよこのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.0
【事件から70年近く経ってもなお…】
年末に観た作品のレビュー、これでラスト!🏃💨

🗞全体の感想
この作品のメインストリームもさることながら、エンドロールに記された後日談から、解決されない月日を思い、事の根深さを思った。あの人たちの選民意識の高さはどこからくるんだろうか…。

🗞対抗する手段
人権活動家の人が、綺麗事だけじゃないのが良かった。活動を続けるにはお金が必要だ、意見を主張する人が民衆受けが良い人柄か。この問題を解決するための手段と俯瞰する視点がとても現実的に描かれていて印象的だった。

🗞口笛を吹いた少年
映画の導入では、母と息子の仲睦まじい様子が描かれ、少年の笑顔は愛情をたくさん受けてきた人にしか出せない天性の明るさがあった。自分を丸ごと受け入れてもらえる安心感、万能感。だからデパートの店員さんからのささやかな悪意にもまるで気付かない。彼のこれまでの人生は、浴びた悪意よりも、与えられた愛情のほうが圧倒的に大きかったんだろう。すくすく育って欲しい一方で、攻撃性のある他人がいることも教えなくてはいけないのは、なんだか子育てのジレンマのようなものを感じる。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
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🗞印象に残った台詞
『愛情だけで育ててきたから、憎しみという感情を伝えきれなかった』

🗞子離れする勇気
子どもの年齢とともに子どもの行動範囲は広がるわけなんだけど、親にとっては葛藤の連続なんだろうなって思った。特に今回の場合は彼らにとって危険なエリアに行くわけで。母親だけ反対していたから、こんな結末になってしまって賛成していた人たちや子どもを預かっていた親戚たちは居た堪れないだろうな…せめて命だけでも助かっていて欲しかった。

🗞リンチの仲間たち
リンチした仲間のなかには屈強な黒人男性たちもいたらしいんだけど、どんな気持ちで同胞を痛めつけてたんだろう。汚れ役を引き受けることで白人の仲間にでもなれたつもりなのかな。主犯の夫婦は罪を償うどころか、お金稼ぎの道具にしてるのキツいな…
https://news.yahoo.co.jp/articles/51c886205ff3b9972f38169c20381b39b2c0da69?page=1

🗞その他
・いつでも身綺麗にしてる母親かっこいい
・息子が好きだったアップテンポの曲がこんなに哀しく聞こえるなんて。切なかった。
・口笛を吹いただけでリンチに遭った人がいるのは聞いたことがあったけどもしかしてこの子…?
・ネガティブな意見が上がるなかで''人生が変わった''と肯定されることの安堵感。
・実際の写真(※閲覧注意です※)
https://history-maps.com/ja/story/Civil-Rights-Movement/event/Murder-of-Emmett-Till's
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