このレビューはネタバレを含みます
ターは信用出来ない語り手なのか? どこかでめっちゃ精神的に来る展開が来るのか? めちゃくちゃ期待してたのだが、ベトナムのコスプレイベントで指揮するシーンで終わり、『フーン』という感じ。
どうも『衝撃のラスト』という謳い文句に期待しすぎて、自分の中でハードルを上げすぎてしまった(勝手にシャッターアイランドとかファイトクラブみたいな方向性の映画かと思ってた)。正直自分としては脚本面での驚きは殆どなかった。
序盤はずっと会話劇でかなり退屈。しかし会話の中に終盤の伏線が散りばめられているので、ちゃんと聞いてないと後半厳しい。自分はあまり集中できなかったので、それが脚本に対する低評価に繋がった感は否めない。
特にシナリオ上の最重要人物であるクリスタは、殆どビジュアルが作中に登場しないせいで、最重要人物としてなかなか認識しにくい(これは意図的だろうが、実際に作品の完成度にプラスに働いているかはよく分からない)
2回目視聴したら評価が変わるかもしれない。流石に劇場で2回目を観る気はないので、そこは今後の配信やソフト化に期待する。
一方で演者のレベルはかなり高い。脚本はケイト・ブランシェットの当て書きらしいのだが、役作りで語学も演奏も指揮も全てかなり練習したらしい。当て書きなのに(笑)
チェリストのオルガは、役者ではなく本当にチェリストらしく、演奏に見入ってしまった。
あとは音響関係かな。聴覚過敏やHSPの人ってこんな感じなんだなというのを味わえるのではってぐらい、特定場面の環境音は力が入っている。
なお主人公のターは当然のように同性愛者である。アカデミー賞ノミネート作品となると、作中に一人二人は同性愛者がいるのが普通になってきた。西洋作品はLGETQのフィクションにおける扱いも一周した感あり、本邦との違いを感じさせられる。
【追記】
よそのレビューだが、以下は参考になった。
https://cinemarche.net/suspense/tar-sakura/
リディア・ターは、シナリオ上はミソジニー男性的な扱いだそうだ。なるほどなー。男性主人公として考えたら、枕営業だのパワハラだの、エンタメ業界によくありそうなシチュエーションになる。でもあえてレズビアン女性にする事で現代的な視点が生まれているのな。
しかしラストのコスプレイベントがモンハンだというのは本当なのだろうか? なんか歴史系作品だと思ってたが。自分もプレイ経験あるがよく分からん。
因みに日本要素だと、Bunkamuraという文字列が字幕に登場してて笑った。