ベルリンフィルの主席指揮者であり世界的音楽家リディア・ターの転落劇。
勿論ターは架空の人物、フィールド監督がケイト・ブランシェットの為に書き下ろしたオリジナルストーリーというだけあり、ケイトの素晴らしさをまざまざと見せつけられた。
ターの地位は努力と才能の賜物なんだけど、そんな事を感じさせず神経質で権力を鼻にかけたような雰囲気にイラッとさせられ放し、そして徐々に壊れていくのも自業自得にしか見えない。
で、クライマックスの指揮者をぶっ飛ばす時のケイトの表情の怖いこと！
こんなに感情移入させない嫌な役を完璧にこなしたケイトの演技力には脱帽。
さらにドイツ語やピアノ演奏までも習得したというから並大抵ではない。
これは間違いなくケイトの代表作となるでしょう。
で、ストーリーの方は･･･難解。
最小限の情報しか出さず説明もなく進行するので、絶えず洞察する必要があり、枝葉に囚われていると置いて行かれそうになる。
SNSによる拡散や匿名攻撃が今風、そして観ている私達も少ない情報から想像する事でそれを擬似体験しているようでもあった。
オルガの物怖じせず対等に接する態度や動画投稿なども今時の若者らしかった。
ラストは見方によってhappyにもbadにもなると思うけど、私はhappyとして捉えた。一度は世界の頂点に登り詰めたターだからゲームの世界でものし上がれるでしょう。
登るのは一生、落ちるのは一瞬、2度3度観れば新しい発見がありそう。
ケイト最高！見応えあり！
余談だが、
喧嘩で殴られて怪我をした時ドラマでは普通「階段で転んで･･･」と言い訳するけど、その逆に階段で転んだのに「暴漢に襲われて･･･」と言い訳するのが可笑しかった。
監督 トッド・フィールド
キャスト
ケイト・ブランシェット
ノエミ・メルラン
ニーナ・ホス
ソフィー・カウアー
ジュリアン・グローヴァー
アラン・コーデュナー
マーク・ストロング
