麩

TAR/ターの麩のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
2.9
「セッション」みたいな差別ハラスメント全部盛りの気狂いを想像してたら
ターは思ってたよりずっと普通で、ハッキリとわかりやすくダメ!!って要素よりは、そうとは言わずに空気を動かすみたいなのが多かった。
エンタメ界で働く人間としては「え?別に普通じゃない?確かに褒められた発言では無いけど意図もわかるし、集団内の特定の人に思い入れあるのって全世界の指導者がそうじゃない?育て甲斐のある選手や懐いてくれて可愛い後輩を応援しちゃうみたいなのって当たり前じゃない?姿を隠してオーディションやって、音だけ聞いて判断してるし、ターの独断ではなく複数名による投票の結果満場一致!ってめちゃくちゃまっとうじゃない?」とか思ってしまって、
フライヤーに書かれた「狂気」は全然感じなかった。
最後のライブレコーディングのとこだけは完全アウトで言葉通り狂気の沙汰だったけど、、
それよりも、類稀なる才能とバイタリティを持ち、権力と名声を得ているターが、寄付金くれる人たちと飲んだり支援者とランチしたり楽団内の噂を払拭せねばと悩んだりしてるのが、なんかどこまで行っても世知辛ぇ〜
芸術家なのにこんな雑務、、みみっちくていやんなるぜ、、って気分になった

権力者から使い捨てられる側で、
夢のために長いものに巻かれるしかない立場の自分が、
ターを正当化する目線でこの映画を観てるってのが
奴隷根性やば〜って思った
麩