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TAR/ターのmichiのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9
ケイトブランシェット指揮のマーラーが聴けるの?とわくわくしながら観に行ったけれど、実際のオケシーンはごく僅か。序中盤くらいまで執拗にオケが出し惜しまれるので、いざケイト指揮でオケがジャーン!と鳴るシーン(予告で使われてたところ)は絶頂ものだった。でもやっぱりもっと聴きたかったな。

大学での授業のシーンがとても印象的だった。バッハを嫌う貧乏ゆすり大学生にあれこれを説くところ。人間性由来でバッハを嫌厭することって、それだけで見たら「気持ちはわかるけどあり得ないでしょ、バッハだよ?クラシックやっててバッハ通らないのは無理でしょ」って思ってしまうところだけど、いざ現代に立ち返ってみると、私は性犯罪を犯した映画監督の映画は観たくないと感じている。ここに明確な矛盾がある。
そもそもTARの性別が女性でなかったら、この映画ってドラマになったんだろうか?TARが男性だったら映画としては成り立たなかったんじゃないか?なぜ成り立たないのか?考えると薄暗い気持ちになってくる。

一度観ただけでは整理し切れないさまざまな気持ち。もう一度観たい。
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