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TAR/ターのPeのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ケイト・ブランジェットがとにかくすごい。
映画館じゃないと3時間弱のこの映画は耐えられなかったかもしれない。

様々な要素が詰め込まれていて、それでいて何か明確なラストが示されるわけでもない。受け取り方も情報の選別の仕方も、全て観客に委ねられた物語だなと感じた。

キャンセルカルチャー、男性社会、権力構造、芸術論、同性愛、ハラスメント、映画の中に挙げられるテーマは、列挙していると際限がない。

映画を見終わった後、リディアは善か悪か、彼女は救われたのかそうでないのか、とまず考えて、それがあまり意味のないことだという気がしてきた。
彼女が序盤で語っていた芸術への情熱を見せられれば共感することもあるだろうし、彼女が権力を濫用している姿を見れば嫌悪するだろう。時と場面、相対する人、視点によって、リディアの姿は変化していく。
この映画の中で描いているのは、そんな一人の人間の人生の切り取りの一部分にすぎない。それ故、ラストの指揮に希望を持つことも、キャリアの転落の末路として絶望として見ることもできるのだろう。

予告を見て、ブラックスワンとセッションを足した感じの映画かなと思っていたけれど、その二つを混ぜ合わせて、人間のドス黒さを200%増しで継ぎ足した感じでした。
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