そうめん

TAR/ターのそうめんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
最高峰のオーケストラを統べる初めての女性というキャラクターはとても強い。長年にわたり人種や性に保守的だった世界を改革していく象徴としては最適だ。それなのに、人間らしい欲望や感情をチラチラが見えだし、ミスを重ね転落していく。
最初のうち、公開インタビューのトーク、熱血指導、派手な指揮、アグレッシブでパワーに満ちたターの姿をカメラはアクティブに追っていく。指揮者かつ作曲家なので当然音楽が軸になっていくが、環境音的な“音”もまた重要なファクターになっているのが面白い。画と音が有機的に絡み合ってとても鑑賞疲労度が高く、単なる成功から足を踏み外した者の顛末話では片づけられない見応え十分なドラマだ。
主演のケイトブランシェットが強烈すぎて全部持っていった感が強いが、マニアックなクラシックネタなど細部へのこだわりと絶妙な設定のおぜん立てあってこそで、演出もよく効いていた。