そうめんさんの映画レビュー・感想・評価

そうめん

そうめん

映画(205)
ドラマ(0)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

日本からしたら最も重大な悪の科学者扱いだが、彼は彼で自ら開発に携わった兵器の(理論的には世界を滅ぼす可能性のある)威力におびえ、それが(たまたま日本に住む)人間の上に落とされたことに複雑な気持ちを抱き>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

前作のラストの引きが良すぎて待ち焦がれてきた続編でした。今作からは抑圧する支配側に立ち向かう反体制的活動と救世主伝説の話になります。ベースは聖書なのでしょうが、既視感があるのは、本作からインスパイアさ>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.0

中世韓国宮廷が舞台で書物に記された話だそうだが、歴史に詳しくないと流行りの異世界転生ものにも見える。実際に、盲目で才能ある鍼灸師がひょんなことから宮廷勤めするという説明だと、いかにも聞きなれた感がある>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

ロードショー公開の時、紹介記事は読んだものの、どういう話なのか分からず結局未見だった。この機会に鑑賞できたが、やはりどういう話なのか理解できたとは思えない。だが、理解するかしないかはさほど重要ではない>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.1

これからどういう人生を送るか。何に重きを置いて主体的に日々を過ごしていくか、自分を含め人生折り返した者には身近な問題だ。
最小限の仕事。最小限の財産。人との付き合いは深みにはまらず、ほんの少しの気遣い
>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.9

映画は時間の芸術だと思いなおす時がしばしばある。とある時代とある場所で流れる時間を感じるのが映画なのだと。本作を観て改めてその認識を強くする。
アメリカ西部開拓時代に成功を夢見た男たちの小さなエピソー
>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.1

世界では戦争起きているし、自分の仕事もうまくいかない。ひとりぼっちで人生つらい。だけど、いいことあるかもしれない。そんな大人の寓話をシンプルなストーリーと絶妙にノスタルジックな背景で描いてくれた。劇的>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.7

レナード・バーンスタインについては通りいっぺんのプロフィールは知っていました。その性的嗜好についても当然描かれていて、嫁と家族の話が軸になっていくのも自然な流れ。この人たちの出自も仕事も特別だけれども>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.0

いまさら鬼太郎?と思っていました。何度もリメイクしているし、話も大体同じじゃないのかと。それが公開直後から評判がすこぶる良かったので、まあどんなものかなと思って観てみました。確かに面白い。
一番の殊勲
>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.9

「スワロウテイル」を現代版にリメイクするのかな?と思った。監督の作りたいものが一貫しているのはいさぎよいが、今の時代に合うのかなとおっかなびっくりでもあった。
結論として、あれはあれ、これはこれ、で成
>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

昔のTVシリーズ「スパイ大作戦」から観ていたので、トムクルーズ版映画1作目には驚かされたし、2作目も(ハトが)印象に残っている。その後も観てきたけれども、どのシーンが何作目なのかは、もはや覚えていない>>続きを読む

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト(2023年製作の映画)

3.8

映像表現のリッチさは相変わらずで、京アニらしさが受け継がれていて嬉しくなります。金管楽器の輝きは眩しいし、座っている女子の姿勢は美しいし、スムーズで自然なアクションは楽しい。アニメーションの原点である>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.6

ループものは、エンタメ小説や漫画アニメ等でさんざん使われてきた設定で、映画も数多くの名作ヒット作があり、自分もたくさん観てきました。
そういう個人的ハードルの高さもあり気構えていたので、わりとシンプル
>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.2

なるほどカンヌで脚本賞を獲っただけのことはある。と、上から目線で恐縮ですが、やはりこの展開にはしびれました。
最初は湊かなえ原作のような、イヤな感じのミステリーなのかな?と思っていました。そうミスリー
>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

過去作品とつながっているようなキャラクターが次々登場してくるので、宮崎作品のエッセンスがぎゅっと凝縮されたように思えました。前作が外面の(えぇカッコしぃの)宮崎駿だとするなら、今作は恥もさらけ出した内>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

導入ですんなりとスパイダーバースの世界に引き戻してくれて親切なつくり。構成だけでなく画作りも実に細かく行き届いて丁寧。ほんのちょっとしか使われないカットにものすごい労力をつぎ込んでいるし、3DCGとア>>続きを読む

苦い涙(2022年製作の映画)

3.8

人間のダメな部分を露わにするメロドラマ。お話はわりとオーソドックスな恋愛もので、元ネタ映画の女×女を男×男に置き換えたようだが、これが演出のせいなのか、自分の固定観念の影響なのか、おそらく男×女や女×>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

映画というのは、ストーリーが分かりやすくて、キャラ付けがはっきりしていて、メッセージが強いものが必ずしも良いわけではない。結局は心に触れるかどうかだ。
そういう意味では、本作は何が描かれているのか把握
>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

4.1

幼き頃からの親友との長年の関係、父への反抗期からの断絶、自らの進む道、家族のこと、等々、誰もが経験する人生の紆余曲折を、雄大なアルプスの山々を背景にじっくり描いていく自叙伝的な大河ドラマ。ロケーション>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

最高峰のオーケストラを統べる初めての女性というキャラクターはとても強い。長年にわたり人種や性に保守的だった世界を改革していく象徴としては最適だ。それなのに、人間らしい欲望や感情をチラチラが見えだし、ミ>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.2

フィルムの映画が重要なファクターではあるが、懐かしほのぼの人情ものではなかった。
中年女性のバックボーンや黒人青年の苦難などの社会的弱者をめぐる問題は知るべきだろうし、世の中の見方を拡げるテーマではあ
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

シリアスに現代的にリライトされたダークヒーローものかと思っていたら、良くも悪くもファンムービーでした。ネーミングや空想科学設定、カッコよさを追求したショットにこだわるところは評価したいのですが、それが>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.9

はやりのメタバースものではあるのだけど、根底のテーマはいたって普遍的。人生がこんなはずじゃなかった、という想いはほとんどの人が感じたことがあるでしょう。あの時こうしておけば・・・が重なって多数の可能性>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.1

音楽を題材にした邦画はどうも危険な香りがして敬遠しがちです。実写でもアニメでも演奏シーンの画と音がイメージと合うかどうかが個人差ありすぎて口コミが全くアテにならないことがあります。
そんなわけで恐る恐
>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.9

3時間超えに恐れおののいていましたが、体感2時間ぐらいでした。惜しげもなくいろんなエピソードを入れてくるし、見せ方もうまいので飽きることはありません。
ストーリーは時代に翻弄された映画人の栄光と没落と
>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.7

予告や紹介文から想像する通りの映画でした。思春期に多くの人が直面する周囲との関係と自己の立ち位置の問題について、うまくいかずに悩む登場人物の心情に寄り添いながら丁寧に描写しています。キツいシーンもある>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.3

微妙に世代がずれていて、さほど思い入れもなかったのだが、バッチリ感動できる作品になっていた。
まず、試合描写が素晴らしい。バスケットボールに詳しくなかったものの、カメラワークが抜群で分からないなりに見
>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

3.8

原作未読。事件と解決へ向けての流れは「砂の器」を思い起させたのですが、比べて盛り上がりに欠けるなあと感じていたところ、最後に意表をつかれました。
タイトル通り「ある男」の話なのですが、どの男(女)にも
>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.1

すっかり自然災害エンタメの第一人者になってしまった新海誠監督だが、前2作が隕石落下や首都水没という空想要素で薄めていたのに対し、今作は明示的に過去起きた天災をベースにしている。娯楽作品でこれらを題材と>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.3

二人の男が友情と使命の間で引き裂かれぶつかり合う熱血アクション大作。謳い文句そのままに次から次へとド派手シーンがさく裂する。歌って踊って、危険をくぐり抜けて戦い、囚われても屈服せず、ジャンプ漫画を実写>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.7

映画とは何だろうと考えることがある。すべての謎が鮮やかに解決し勧善懲悪でスカッとするシナリオなのか、あるいは美男美女がその魅力をきらびやかに発する演技と存在感なのか、もちろん、効果的に感情を盛り上げる>>続きを読む

岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.0

感じ方が難しいなあというのが率直な感想。鑑賞者が置かれている環境によって感想はだいぶ変わるだろう。いろんな社会問題に結び付けたりして色々論じることは出来るが、意地の悪い言い方をすると、自分事でなければ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

ホラー映画あるいはスリラー映画と言われればその通りだし、血も出るしビックリドッキリするシーンもあるけど、そこまでジャンルに寄ってはいない感じ。
そもそもタイトル「NOPE」は「ありえない!」という意味
>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.6

レストランでフロアのアルバイトをしたことがある身としては、この映画はホラーです。
年に一度の忙しい日を迎え、スタッフ&シェフ一丸となって乗り越える感動ものかな?なんて安直な話なわけがなく、次第に不穏な
>>続きを読む

神々の山嶺(2021年製作の映画)

4.2

最初の山岳の遠景カットを目にして、これは!と期待が確信に変わりました。フランス制作サイドの深い原作愛によって、本作がきわめて誠実な映画として生まれたことは大変喜ばしいです。谷口ジロー本人含め日本の原作>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

今さらですが、何が大ヒットの要因かを考えた時、映像技術の進化だけでなく、いわゆるハリウッド流シナリオ術の勝利なのではないかと感じました。
ストーリー自体は荒唐無稽にもほどがあります。ですが、超高速テス
>>続きを読む

>|