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TAR/ターのTのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
カラヤンとバーンスタインの聴き比べをしたらそもそも楽曲の得手が違い、詳しい人に聞いたらカラヤンはフルオケならぬ風呂桶かきまわしてるだけだからとクライバーとマルタアルゲリッヒをお勧めされてクライバーの厳格さとりわけウイーンフィルのポルカにハマっていたら、さらに詳しい人(アトで知ったが実は私を裏切っていた事務長)に聞いたところムラヴィンスキーなるのがいると。
そこまでいくとワケワカメ。ナニを怒ってるんだこの爺さんは?
そもそもクラッシックは良くわかんねえ。のところで、昔から推しかけていたティファニープーンに落ちついた、、のが2年前くらいかな?最近はハザマミホがいい感じだなあとすっかりビッグバンドまで傾聴して、若かりし夏によく聴いたNASに落ちつきました。



しかしこの字幕の酷さ。なにせ主演の役どころがLGBTQだから多様性と国籍人種的配慮をした結果がこのザマでさあ。 
いくら俺っちが英語やらドイツ語フランス語がわかんねえからったって、ChineseReactionぐれえ分かるわ。
それはまるで、
ゴッドファーザーⅡで"YES"を"いいえ"と後ほど改訳したかのごとくの子供ダマしで、本作に於ける重要な観点と視点をブらしてしまっているような気がします。

先日、ふ、と。納期について調べてソレが一番厳しい職種に、指揮者含めた音楽家が挙げられていたが、その通りで、芸大の美術科と音楽科で、前者は卒業後失踪してナンぼ。後者は時間も服装も厳格極まりないらしいのがよくわかったような気がしました。

悲しいかな必ず加齢とともに低下してゆく聴力、ピアニストによくあるパーキンソン症候群やなりかける症状。
それらをよく分かっているがゆえにの解雇と、そこらへんに端を発する、重大な職責である指揮者の忙殺されるタスクに加えて、脚を引く誤解と愛憎と嫉妬はディープフェイクも含めてジッとりとしており、下手な濡れ場よりも一層の熱量と不快感をもたらしていた。
夏に見る映画じゃねェな。

爆発。
浅い眠りからの不眠により齎される神経症に加えて、崩壊してゆく、キャリアに基づいた人間関係の深まる孤独さがより際立つ。

映画全体のパッケージとしては、静謐なマーラーの5番と激しいボクササイズなんかで、秘められた暴力性を指揮という身体性をもってして統合されていて、とても良かったです。

良作ではあるがナンだかムナクソ系に近い絶望感を感じる。やりきれないアジア系差別や、映画音楽の素晴らしさとりわけヨハンヨハンソンや久石譲なんかは珠玉ではあるが、あそこまで積みあげて頑張っても、そこに落ちつくか、という寂寥感は、夏ももう終わりだなという季節感もありメランコリックな気分です。

ケイトブランシェットは本作をもって引退も考えたようだが、終始美しかったです。
今年の秋冬の流行りを見越したブラックコーデも含めてね。



追記:最後、マエストロの落ちついたところはモンハンだったんすね。他の方からいいねをいただきレビューに記録されていました。無頼漢(女傑?)な彼女のことだからいい棒振り、呼ばわるなら棒降りすることでしょうね。
そっか。
少しホっとしました。

それにしても私にはバーンスタインの良さがチッともわからんのですわ。
あと指揮者、改めて凄すぎ。
濃縮されたエクスタシーの最たるだわあんなの。
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