ハレルヤ

TAR/ターのハレルヤのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
圧巻の才能と実績を持つ女性オーケストラ指揮者のリディア・ター。その彼女が新たな挑戦への重圧や以前受け持った教え子の自殺、家族との関係、スキャンダルなどに苦しみ、崩壊していく姿を描いたサスペンスドラマ。

まずいきなりクレジットから始まるオープニングに意表を突かれて、その後主人公のリディアに対する長回しのインタビュー。そして生徒のマックスとの長回しの会話。この2つのシークエンスを違和感なく演じれるケイト・ブランシェットの演技力を早速味わえます。

彼女の演技力の強さは後半に向けて凄みを増していきます。男性社会の指揮者業界で女性ながら最高クラスの地位にいるリディア。才能と努力が分かるものの、揚げ足取りや自身の過去の行動が取沙汰されて、徐々に追い込まれていく。

家族や仲間からも離れられて、自暴自棄になっていくリディアの姿はかなりのインパクト。これでケイトがオスカー取れなかったのは残念で仕方ないと思うほど。

リディアという女性指揮者を追う物語でありながら、ジェンダーやパワハラ、セクハラの問題、権力問題、SNSの闇にも触れた内容で、158分の長めの時間でも飽きずに見せきる強さを携えた作品。かなりの見応えがありましたね。
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