Diamante

TAR/ターのDiamanteのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3
まず噂通りケイトブランシェットの怪演が素晴らしい映画でした。
権力の乱用を通して長回しによるワンカットや子供に容赦ない悪態の数々など、一見天才的なリベラルに見える主人公も内面はそうではなく、彼女が引用している本や哲学者、または偉人が実はセクシャルな問題がある所に心情の機微が垣間見えて、この演技が出来る俳優が他に思い浮かびませんでした。
またストーリーも途中からかなりホラーテイストになって行くのだが、2度目の鑑賞であの演出が実は最初の方からあるのと、冒頭からのメールやカメラワークのやり取りが、考え方を変えると複眼的になってくる事に驚愕しました。

ラストに関しては、制裁を受けた彼女がさらに自分を俯瞰的に見る事になるショックと、幼少期の思い出を通した後のあの演奏は、今までのどの音楽より爽快で、客も夢中になっていて、皮肉にも一番生き生きしている様に見えました。エンドクレジットを飛ばしているのであのタイミングで館内が明るくなるのも計算に入れているのを考慮すると、自分は素晴らしい演出だと思いました。
Diamante

Diamante