はらだしんじ

TAR/ターのはらだしんじのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

数日にかけてゆっくりと鑑賞。
丁寧にリディアの環境と才能、その裏側にある社会的な問題が描き出されていく。
その丁寧さと、クラシック音楽業界、ドイツの街並み等が古風でハイソサエティなイメージを覚える。それが心地よく、鑑賞しながら今後も見直す作品になるだろうと思っていた。ラストシーンを観るまでは。
 ラストシーンは心地よく見ていた自分へのからかい、新しい視点の提示に見えた。
今までの映画であればリディアは今まで活躍していた業界で誤解を解くように会心の指揮を振るい、クライマックスとなっただろう。
しかし、今の時代活躍できる場所を狭く考える事がナンセンスである。もちろん社会の中で個人が存在している事は変わり無く、道徳的なタブーはいくつもある。しかしそれが性であれば、そうならざるを得なかったなら。才能と自分が輝き、必要とされる場所に個人が移動して活動を続ける事がより良い選択だろう。