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TAR/ターのtoaのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.2
"音楽や神の前に立つときは自分を消す"

自分を追い込んでいくリディアの姿が辛い。カリスマ性も名声も才能もない平凡な身でも自省を促される普遍性、ケイト・ブランシェットの力演だった。

誰しにも光陰の二面があると思うけど、権力によって光が強まるほど影も濃くなるってことで。彼女の行いは、害されたと感じる当事者には許せるものじゃないかもしれないが、作用/反作用にも見えるし、一人の人間としてのジレンマはリアルだ。

音楽業界に明るくないので分からない事もたくさんあったけど、社会的にかなりシャープな視点が盛り込まれていた。一回では消化しきれない書き込まれた脚本って感じ。
自分を見てほしいけど見てほしくない本質を突いた秀逸なラストだったと思う。
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