MasaichiYaguchi

ちくび神!のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ちくび神!(2020年製作の映画)
3.7
俳優・舞台演出家・映画監督の米澤成美さんの初劇場長編作品は、うだつの上がらない日々を送っている主人公が、身体の一部に起こった異変を切っ掛けに変化していく姿を描いた奇想天外でコミカルな恋愛映画。
この映画は、夫々欠点やハンディキャップを持つ主人公たちの、或る意味、成長物語でもあると思う。
要領が悪くいつも失敗ばかりの筑摩むねとしを阿紋太郎さんが、そして彼が一途に想いを寄せる相手で、病気の為に15歳で全盲となったが、小説家として自立した生活を送る仁科ありすを監督である米澤さんが演じている。
そして、不器用なむねとしを応援する存在として、幼馴染みのとしお、年下の仕事仲間・あざみがいるが、夫々を大沢真一郎さんと山田笑季菜さんが演じていて、作品に温もりを与えている。
ファンタジーと不条理がハイブリッドしたような作品世界が繰り広げられるのだが、果たしてむねとしの恋は成就するのか?
愛と痛みが交錯する終盤の展開は、あらゆる意味で観る者の心にインパクトを残します。