それにしても長ったらしいタイトルだ。「Bello, onesto, emigrato Australia sposerebbe compaesana illibata」(美男子で、正直者の、オーストリア移民なら純潔な同郷の女と結婚するのだろう)というのだけど、「結婚するだろう」(sposerebbe) という条件法の表現が使われているから、逆を読まなければならない。つまり「ぶさいくで、うそつきの、オーストリア移民が純潔ではない同郷の女と結婚する」。実際にはそういう話だというのがミソ。
この時代にはたしかに長いタイトルが流行った。イタリア語のタイトルで思い出すのはウェルトミューラーの『流されて』(1974)。イタリア語で「Travolti da un insolito destino nell'azzurro mare d'agosto」(八月の青い海でただならぬ運命に巻き込まれて)だけど、ウェルトミューラーにはもう少し長いタイトルものがあったっけ...
さて主人公のアルベルト・ソルディ/アメデーオは戦後すぐに移民し、金鉱山や道路開発などで苦労を重ねた五十路のやもめ。けっして美男子ではなく、鉱山の仕事で肺を病んで喘息になり、しかもてんかんの発作に悩まされているのだけど、今は人口15人の小さな町ブン・ブン・ガ(Bun Bun Ga)で切れた電線の修理をしながら、小さな家を建ててひとりささやかに暮らしている。