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神々の山嶺のボロロボのレビュー・感想・評価

神々の山嶺(2021年製作の映画)
3.8
Clipしてたけどタイミングが合わずに劇場鑑賞を逃していた当作が、アマプラで配信されていたので鑑賞。

夢枕獏による原作小説、谷口ジローによる漫画、実写邦画、いずれにも触れていない。

先日録画鑑賞した『ロング・ウェイ・ノース』に続いてまたもやフランス制作アニメーション作品。当作に限らず、バンド・デシネという文化から生まれたアニメーション、と言っても過言ではないだろう。

山岳系カメラマンの深町が、著名探検家の遺物とされるカメラ、行方しれずとなっていた伝説の登山家:羽生丈二、双方を追いかけるお話。前半は、過去と現在を織り交ぜるミステリー風な展開。後半は、羽生と深町の再会から無酸素登頂記録へのアタックへ。

冒頭、深町が自分の部屋の本棚から資料を取り出すシーンでチラッと映り込む、ジブリ、松本大洋、寺田克也。

クオリティ高いグラフィック。特に山々の描き方は美しくて正に荘厳だ。過去と現在がクロスオーバーする中盤までの演出は味わい深い。
日本を舞台とする場面では、日本の描写はしっかりしていて違和感ない。
※新橋だけはちょっとチガウけどね😅

ただしお話は全体的に若干薄味な印象。
深町のバックボーン、文太郎とそのお姉さん、といったところが物足りない。
尺の都合なのか、予算の都合なのか。

漫画を描いた谷口ジローは、当作制作途中の2017年に亡くなってしまった(制作初期では谷口ジローが監修してたらしい)。
谷口ジローはバンド・デシネに大きな影響を受けていたそうで、その作風はヨーロッパでも人気を博し、彼の作品は各国で数々の賞を獲っている。
そんな谷口ジローの生き様も踏まえると、当作の展開は物足りなくもある一方である意味納得できそうだ。
羽生丈二は谷口ジローなのかもしれない。
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