KeiRalph

アンネ・フランクと旅する日記のKeiRalphのレビュー・感想・評価

3.9
これを「今、観るべき映画」などと言わずに済む世界に。

キチンと読んだ事なくても、それが世に出た理由は誰もが知ってるアンネの日記。物語上だけで実在しないキティーをアンネが探し求める…という話、ではなく、その逆という設定がまず秀逸。

そして、日記が書かれた当時の対戦中ではなく、現代でアンネを探す、という点もまた良い。劇中、頻繁に使われるスマートフォンが現代性の象徴であり、空疎な人間関係である事も暗に伝えているのかな…と勝手に妄想したり。

人と人の距離感が離れている事が当時と現代の圧倒的な差であらながら、何故無益な侵略、殺戮で罪のない子供達の犠牲は繰り返されるのか。その名を借りるモニュメントや記念碑を建てても、キティーは二度とアンネと出会うことは無く、それに何の意味も無い事を作品は語る。

現代の独裁者よ、不幸な思い出のみの、愚かな歴史を繰り返すな。
KeiRalph

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