MasaichiYaguchi

クレマチスの窓辺のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

クレマチスの窓辺(2020年製作の映画)
3.7
永岡俊幸監督の劇場デビュー作は、ヒロインで東京の生まれ育ちの絵里がストレスフルな都会を離れ、島根県松江市にある亡くなった祖母の古民家で暮らす一週間を、建築家の従兄とその婚約者、大学生の従妹、靴職人、古墳研究者、バックパッカー等、様々な人々との交流を交えながら、風光明媚な景色と共に温かく描く。
島根県松江市には行ったことがないが、海辺や湖畔、川が映画に何度も登場して水辺の街という印象を受けた。
その水辺の街で過ごす絵里のヴァカンスは、従兄妹に会ったり、海に行き、靴を買い、そしてちょっと素敵な出会いをするという癒しの一週間。
そして市内には、その地方を統治した王の墓である古墳があったりして、太古から連綿と続く歴史ある街なのかが分かる。
絵里は、そんな街で一癖ある人たちと交流し、そして祖母の遺したものたちと向き合う内に少しずつ彼女の何かが変わっていく。
年度末、新年度を迎えて慌ただしいこの頃だが、この作品は、一旦立ち止まって自らも含めて振り返ることの大切さを描いているような気がする。