岩嵜修平

フォトコピーの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

フォトコピー(2021年製作の映画)
3.8
インドネシア映画の知識がないまま観たけど、凄かった。ド真正面からmetooを描いている。ミステリー色が強く、先の読めない展開の連続で、とある決定的なシーンからの、タイトルの『Photocopier』の意味がわかるラストの展開まで鳥肌が止まらなかった。国内各賞受賞も納得。

大学における泥酔時の問題を契機とした作品群ということで、明確に想起するアメリカの大学での事件と、そこから起きた運動があるのだけど、恐らくインドネシアで、そして、日本でも現実に(伊藤詩織さんの事件しかり)起きていること。インドネシア独自の文化や風習も合わさり、問題は複雑化していく。

現代インドネシアの文化や風習や家族制度のあり方などを知ると更に、勉強になる作品でもあるので、詳しい人に解説して欲しい。あと、インドネシア音楽独特のリズムとダンスが知れる映画でもあるので、高野政所さん辺りに、ファンコットと合わせて、 #utamaru などで解説してもらえるとありがたいかも。

正直、展開ありきの設定がかなり有り、物語は粗が目立つものの、それを忘れさせる撮影や照明、演出、演技のクオリティの高さ。画面の色合いにも勝手に想像するインドネシアらしさが出ていて、終盤の1シーンでの歌唱と舞踊には度肝を抜かれた。こういう色々な国の文化に触れられる映画をもっと観たい。
岩嵜修平

岩嵜修平