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ケイコ 目を澄ませてのoのネタバレレビュー・内容・結末

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

聴覚に障碍のあるプロボクサー、ケイコの話。

作中でケイコの心中はほとんど明かされず、ケイコと他人の間のコミュニケーションが何重にも欠如していることが描かれる。
まずケイコの聴覚障碍を知らない人々。(コンビニ店員、通行中に肩がぶつかって怒るサラリーマン風の男、警官)
また多くを語らないケイコは良く知るはずの人々を拒否したり時には誤解を受ける。(ジムのトレーナー、ボクシングを続けることを心配する母、弟(「人の心を勝手に読まないで」))
観客にもケイコの心中は分からない。
そしてコミュニケーションが無いのは試合のリングの上でも同じで、セコンドからの指示の声が届かないケイコは健聴者のボクサーと違って孤独に戦っている。

例外はジムの会長。
もちろん会長もケイコの心中をほとんど知らず、記者の取材でケイコがボクシングを始めた動機を聞かれても具体的な理由は答えられない。ただ、ケイコのボクシングへの熱心な姿勢に「素直で人間としての器量が良い」と信頼を示す。
そしてある時倒れて入院した会長は試合中継の画面を通して、リングで対戦相手に立ち向かうケイコを見る。
その後会長が自分を奮い立たせるように車椅子を漕ぎ始めるとき、聴覚障碍のあるケイコと視力が急速に低下した会長が重なり、聴覚や視覚を超えた強いコミュニケーションの存在を感じる。
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