上海十月

皇帝のいない八月の上海十月のレビュー・感想・評価

皇帝のいない八月(1978年製作の映画)
2.5
チリ・クーデターの流用シーン編集が見事。公開当時、かなり見たい映画だったのに見そびれた作品。題名がかっこいい。しかしながら、自衛隊によるクーデターを描くというのはかなり辛気臭い。しかも、偶然元婚約者、ヒロイン、現旦那が一緒にハイジャック列車に乗るなんて?政界の黒幕に心酔してクーデターを起こすのだが、ほとんどエロと金しかなさそうなジジィ。大物俳優がぞくぞくと自分の信条とは真逆の役柄を嬉々として演じているのが面白い。話は、某国Kとか出てきたのでリアリティが消滅。吉永小百合がひたすら美しいと思ってみなければ耐えられない映画となりました。「戦争と人間」ファンとしては、山本薩夫作品をリアルタイムで観た唯一の作品ですね。公開当時以来くらい観てない感じの作品。渡瀬恒彦がトラック運送業なのに自衛官の格好してブルートレインに乗っているなんて結構?そして吉永小百合も冒頭着物着ながらうろうろしているのもなんか違和感がある。ともかく三島事件の影響もあって自衛隊によるクーデターの可能性があるかもと言うことが根っこにある。本来は、2部作にでもなろうかというテンポで話が進んでいく。森田健作が出てくるシーンなんか「砂の器」みたい。夏樹陽子が中島ゆたかに変わっただけ。チリのクーデターのシーンの編集が一番の見どころと言うのが個人的な感想上手いですね。その後の話の展開は、あの時代にそんなに共鳴するかなぁ国家転覆。公開が78年9月23日で映画界は、「スターウォーズ」旋風両方見て喜んでる自分は、相当おかしな中学生だろう。岡田嘉子(サイレント時代のスターでソ連に亡命)と渥美清が出てくるのはご愛敬。泉じゅんがでてくるのもいいけどラストかわいそう。久しぶりに佐分利信と大地喜和子が観れて良かったかも。山本薩夫としては、もうすこし山本圭に頑張ってほしかったが渡瀬恒彦に押されてしまって右傾化の警鐘が今一つになったと思っているかもしれない。
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