たらお

N号棟のたらおのレビュー・感想・評価

N号棟(2021年製作の映画)
3.0
「死恐怖症」の主人公が廃墟の探索を通して死を受け入れるまでのお話。
生きている人間のが怖いカルト系です。
「死恐怖症」で睡眠障害も併発している主人公。眠れないのは朝起きるのが怖い、もし目覚めなかったらどうしようという不安から来るものなんでしょうかね? 
病院で植物状態の母をどうするかも決断することが出来ずにいる彼女が壊れていく過程にもうちょっとキツいシーンあっても良かった気が。
テーマはわかりますし、台詞もいくつか個人的に好みなものもありましたが途中からグダるんですよね。

タイトルが表示される時、団地の窓から人が一斉に主人公らを見下ろしているというシーンはぞぞっときました。
廃墟のはずの団地に人が住んでいて、歪なものを感じながらもしばし滞在するわけですが、あまり逃げようとする気ない感じがまた。それも危機感薄いのと、女友達がいらんこと言うわで。
普通に住人の方々が振る舞う料理やお茶を口にしてますけど、毒物やら人肉やら入ってると疑わないんだなーって。
(正直カニバリズムとかあると思ったので)
主人公が必死に「ビデオ撮って!」と元カレに要求しますが、そのビデオも恐怖演出にちょっと役立つくらいで後半は空気。
怪奇現象も何処までが本物だったのやら。

閉鎖的なカルト宗教感は出てますし、多少猟奇的なシーンもありますけど、どうにも弱い。廊下で住人らが発狂しているとこは良かったと思いますけど。
主人公がどう足掻いても救われない、逃げられない状況に追い詰めてくれたらまた違ったんでしょうけどね。
後、ちょっとしたこだわりなのでしょうが、ちょいちょい幽霊らしきものがあちこちに映ってますね。カーテンの影とか。
大学教授についても謎のままですし、結局ただの宗教集団絡みなのか、何らかの実験だったのかくらいは作中で明かしてくれたら良かったかと。
ま、終わり方は好きです。
たらお

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