このレビューはネタバレを含みます
魂で結びついている親友との思い出と残される者のお話。
幼少期から共に過ごしてきた親友との友情、衝突、離別、再会……
二人の歩んだ道のりを回想を交えながら描かれるので心の動きがとても伝わりました。
ブログの記事から回想シーンに入る演出がいいですね。
鑑賞中はふと子供のころに仲が良かった友達のことを思い出しましたよ。
元気でいるのかな……
幼少期のやり取りや小道具といったひとつひとつが後々に活かされており、二人の心の結びつきと、お互いの存在がどれだけ支えになっていたのかよくわかります。
ピアスとペンダントはそれとなく予想がつきましたが、「息苦しいから嫌」と言っていた下着までも後に回収されるとは。
ミソとハウンは性格的にも気質的にも真逆なんですが、お互い自分に無いものを持っていて羨んでいたのかなーと思ったり。
「太陽が輝けるのは影があるから」という台詞にもあるとおり、二人で一緒にいることが本当に幸せだったのでしょうね。
物語後半、ハウンが島から出て広い世界を見に行こうと自ら動き出すあたりはちょっとグッときました。
別にひとつの世界で過ごすことが悪いなんてことはないのですが、やはり一度は飛び出してみること、未知のものに触れるという経験って大切なんですよね。
自分のやりたいことにいつまでも向き合うことの難しさはありますが、夢を追う姿にはちょっとパワーを分けてもらいました。
【※ここからガッツリとネタバレ】
今作はハウンが死んでいるのか生きているのかどっちともとれる終わり方をしていますが。
個人的には「ハウンは生きている」説を唱えます。
導入部に出てきたミソをモデルにした鉛筆画が実はハウンが遺したものをミソが完成させたと判明するわけですが。
ミソのタッチ、画風とハウンのタッチ、画風ってまったくマッチしませんよね？
型破り、独創的と言われていましたし。
なので出血多量で死んだというのはジヌに向けた嘘だと解釈しています。
美術展に並んでいる作品も全部ミソが書いた、メールもミソがなりすましたと考えるにしてもちょっと腑に落ちないので。
ただ、「ハウンが生きている」とするとハウンの娘にそのまんまハウンと名付けたことに関してどう解釈していいものかわからないんですよね。
それにハウンの性格上一度も子供に会わずにいるか？ とも考えてしまう……
う、うーんいったい何がどうなっているのか。
どっちなのかハッキリと示してほしかったです。
