ツクヨミ

X エックスのツクヨミのネタバレレビュー・内容・結末

X エックス(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

是非グラインドハウスでかけたいエクスプロイテーションムービー爆誕‼︎
1979年テキサス、自主ポルノ映画を撮影するために田舎農場にやってきた6人のクルーたち。彼らは農場で撮影を敢行していくが…
タイ・ウェスト監督作品。最近ホラーやスリラーが公開されないなと感じていたA24が手がけたホラー映画である本作は、70年代のエクスプロイテーション映画にオマージュを捧げた楽しきスラッシャー風味だった。
まず今作は前半の映画製作描写がなんとも楽しく、クリエイティブさを求める撮影クルーの諸行がなんとも面白く見えてくる。彼らは低予算の自主ポルノ映画を撮ろうと奮闘しており、アングルや描写のこだわりを求めていくのがなんとも言えないインディーズさを醸し出していて好きだ。実際に70年代アメリカといえばアメリカンニューシネマが溢れクリエイティブな映画が多発した時代、1979年を舞台に低予算なポルノ映画を作ろうとするストーリー立てはめちゃくちゃエクスプロイテーション愛を感じて素晴らしい。また主人公マキシーンを中心にした、ビッグタイトルで一発当てて成り上がろうという意思が見え見えなセリフやスタイルも好み。
そして後半は前半のクリエイティブな撮影風景と打って変わって、暴力とセックスとドラッグが横行するザ・エクスプロイテーションムービー感が最高だ。またミニマムなワンシチュエーションと展開.荒い画質の自主映画をモンタージュさせた映像の編集もあり、ロバート・ロドリゲス監督"プラネット・テラー"的雰囲気がビンビンに感じる。是非グラインドハウス形式で上映して欲しいB級感が一周回って面白い。
そして今作は、モンタージュ理論よろしくカットバックとクロスカッティングが楽しい編集がかなり好みな作品でもある。カット割の時に2.3回カットバックしながら移行する仕様、現実と撮影した映像をクロスカッティングしながら見せていくマッチカットの連続さ、ズームアウト後のロングショットのビジュアル力などなど映像表現としても実に楽しい仕様に大満足。
確かにエクストリームホラーと銘打っておいて、蓋を開けたらポルノ映画が作られていく過程を見せられるげっそり感があるのは否めない。しかし映画製作過程を見るのが個人的フェティッシュなのもあるし、荒削りな編集と成り上がろうとする70年代の人々のパワーを応援したくなる展開がめちゃくちゃ好きだった。裸オーバーオールや薄着仕様の美女ビジュアルもなかなかに眼福でもあったし、夏映画的エクスタシーも感じられたのが良いのかも。エンドロール後の予告映像もめちゃくちゃモンタージュしてて笑ったのはご愛嬌。
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