捨て勇

ALIVEHOON アライブフーンの捨て勇のネタバレレビュー・内容・結末

ALIVEHOON アライブフーン(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

あまり知らないドリフトの世界を迫力ある映像で観られたのは良かった。
車同士が接触するんじゃないかってくらいまで接近してるのにコントロール出来ているのはとにかく凄い。

対して映画としてのレース描写などがイマイチすぎる。

全体的にドリフト映像としての迫力は凄いけど、映画としてはストーリー構成もイマイチで設定を活かし切れていないというのが率直な感想です。

ドリフトで有名な土屋圭市さんも本人役としてレース会場の解説席にいたけど、出てくる言葉が「凄い」「ヤバい」「良い角度」「綺麗」「入った!」など、小学生並みの感想ばかりで、技術面や駆け引き面でどこがどう凄い状況なのかを言葉では一切解説してくれないのはどうしたものか。

主軸のドリフトレースは2台での追走バトルなのだが、抜く抜かないの勝負ではなく、前走車のドリフトにどれだけ近づけるか、どれだけ引き離されるかが採点ポイントらしい。
が、前述の通り解説や実況役が全く意味をなしてないので、スピンやコースアウトでの明確な失格以外は採点基準もよく分からないまま、レース後の採点結果で勝敗を判断するしか無い。
にもかかわらず、接戦でレースが続いてるなかで突然仲間達が勝ちを確信して拍手し喜び始めるシーンなどがあり、どこが決め手で勝敗がついたのか分からずに鑑賞者だけが置いて行かれることになる。

想像していた、
ゲームチャンピオンだからこその操作技術や独自理論が実車にどう活かされるのか、や
逆にゲームには無い横Gや振動による操縦への影響、煙による視界不良、事故への恐怖などの弱点をどう克服するのか
などはほぼ描写されず
単に業界的に無名だから安く雇える有望な若手をスカウトしてその類い希な能力でレースに挑む、というただの天才ドライバーの話になってしまっている。

これでは峠を走る豆腐屋の息子をスカウトしてるのと何も変わらないではないか。

というか、そもそもゲーム(グランツーリスモ)はサーキットレースなのでドリフト走行なんてしてないだろうし、
実車のドリフトセッティングは前輪が鬼キャンになってたので一般的なレースゲーム技能は全く通じないのでは無いか?
主人公にドリフト適性があるのが謎すぎる
捨て勇

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