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きさらぎ駅のRenのレビュー・感想・評価

きさらぎ駅(2022年製作の映画)
2.5
ずっと面白くなくて、物語が折り返して今作の目玉パートに入ってもやっぱり心が動かなくて、ジャンルミックスな展開は少し面白くて、でも総合して82分と短くてよかったーと思った。現代版『時そば』のような、情報と実行の喜劇。

発想はとても面白いと思う。
実際に経験したら一生ものの恐怖になるであろう都市伝説を、安全圏から伝え聞く特権と無力さ。都市伝説そのものの映画化というよりは「今、十数年前の都市伝説を聞いた/調べた人が直面する都市伝説」の映画化にしたことで、往年のJホラーとの真っ向勝負を避けたところは英断だと思う。そもそも元ネタはネットで広まった、という背景とも合致。

ただし、そんな良さにコストの無さと冗長さ(説明しすぎ、観客を信頼していなさ)が勝ってしまった。とても残念。
たかだか80分の映画なのだから、そこまで懇切丁寧な編集じゃなくてもこっちは覚えてるから大丈夫よと言いたい。同じシーンが二度流れるたびに興が削がれる。筒井康隆『ロートレック荘事件』の解明パートを思い出してしまった。

非現実的に人が死んだりナニカが追ってきたりするのだとしたら、CGIはもっと頑張らないとキツい。できるだけ忖度して観るとして「ネットの怪談の映画化なので映像もネットのコラ画像(のように安)っぽく」ということなのかもしれないけど、劇映画としてはノイズの側面が大きいので得策とは言えない。
演技力と演技プランが主要人物の中でだけでもバラバラなのも気になる。恒松祐里も魅力100%とは言い難かったけど、それにしたって彼女と比べるとチンピラ達の演技が危うくてハラハラした。堤(恒松祐里)が明らかに現実からきた人だからこのバランスなのかとも思ったけど、そうなると芹澤興人(こういう曲者をやらせたら絶品)の演技が良いことの説明がつかない。

アイデアは良かったのだから、
○ もう少し予算を増やしてJホラーに精通した人を参加させてあげてほしかった。
○ テンポを崩す編集を潔く切ってほしかった。
○ 前半のフリのパートをもっと面白くしてほしかった(一人称視点の映像は正直そこまで印象に残らなかった)。
に尽きる。
布石と回収の構成は明らかにあの特大ヒット低予算ゾンビ映画の影響だろうけど、二匹目のドジョウは容易ではない!

その他、
○ 実は初めて本田望結の出演作をちゃんと見た。今作での演技に関してはノーコメントとする。
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