Renさんの映画レビュー・感想・評価

Ren

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Cloud クラウド(2024年製作の映画)

4.0

面白かった!黒沢清作品が来年度アカデミー国際長編映画賞の日本代表作に....?と期待を膨らませて行ったが、愚直なまでのジャンル映画だった。それでいて黒沢印は全開で、巨匠の遊び心と余裕すら感じる一作とい>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.5

河合優実は完全にこの時代をものにした。どう考えても今後日本のエンタメ界を牽引していく新スターが、新時代の女性映画(便宜上こう言う)主人公を体現した作品として後世に語り継がれそう。

予告編がサブカルチ
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サユリ(2024年製作の映画)

3.5

面白いねー!ホラーや霊そのものの怖さをメタ的に攻略するホラー映画、というもの自体がアイデア勝負の低予算めホラーと相性が良いのだな、と思う。原作未読。

やりたいことの方向性としては『聖地X』、展開の妙
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.5

『バードマン ~』以降のイニャリトゥ作品では一番好きだけど、もう『バベル』以前の彼は居ないのだなと改めて物悲しい気持ちにもなった。鑑賞済の彼のフィルモグラフィーで最も「映画」を感じた。

「画力(えぢ
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ルックバック(2024年製作の映画)

3.0

原作既読。1時間を切るコンパクトさが読み切り漫画の映画化に相応しい。

藤本タツキ先生によるセルフ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
以前Xで「この話が分からない人は努力したことがない
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インサイド・ヘッド2(2024年製作の映画)

5.0

完全無欠の映画だ。近年『ソウルフル・ワールド』も『私ときどきレッサーパンダ』も『マイ・エレメント』も文句なしの超絶大傑作だったのにイマイチ日本の世間に浸透しなかった事実に悶々としていた1ファンとして、>>続きを読む

風が吹くとき(1986年製作の映画)

3.0

理由を知る必要は無い、政府が言うから大丈夫、易々とプロパガンダの餌食になり権力に絡め取られる普通の夫婦の顛末。

権力者も放射能も画面には映らない。見えないものを盲信し、見えないものを認知しないから我
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アノマリサ(2015年製作の映画)

3.5

【anomaly】アノマリー。変則、例外、矛盾、逸脱の意。

新体験のアニメーション映画。所謂「不気味の谷」を狙って作ったであろう人形たちが、人間のフリをして生きている人形のように無機質な主人公を体現
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トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)

3.5

昏睡状態の女性と彼女に惹かれた男性。2組の似た境遇の男女の死生観に迫る静謐なドラマ....に見せかけて一転、きちんとサスペンスに変貌するのが素晴らしい。

男/女やコミュニケーション間の隔たりを、直接
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クライング・ゲーム(1992年製作の映画)

3.0

現代の感覚で観るとモヤモヤする点が明確にあるけど、当時ものとしては新鮮だったのだろう。見方を誤らずに鑑賞されたい。これがアカデミー脚本賞受賞作なことに時代を感じる。

予想がつかない、何転もするラブロ
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関心領域(2023年製作の映画)

2.5

実験的で野心的な映画であることはとてもよく分かるけど、あまり心が動かなかった。が、このような感想を持つことすら看破されそうな作りにもなっていて強かだなと思う。

裕福な家族がいた。大きな庭を持ち、お手
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フェリスはある朝突然に(1986年製作の映画)

3.5

学校を休んだ日の午前のような高揚感を味わえて面白かった。世間が定めた通常の状態=学校に通っている状態、とは違う状態への高鳴りを面白く料理してくれてありがとうございますという感じ。

フェリスが仮病でサ
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少年の君(2019年製作の映画)

5.0

超絶大傑作。凄すぎる。『白夜行』や『容疑者Xの献身』の系譜に連なる東野圭吾の長編小説を岩井俊二が映像化したような驚きと興奮と感動に飲み込まれる135分。

いじめの連鎖が絶えない世の中に語る映画として
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.0

【ゼロ・トレランス(不寛容)方式】1990年代にアメリカで始まった教育方針の一つ。重大な規律違反に関しては、その理由の如何を問わずに、規則に従って "寛容さ無しに" 毅然とした処罰を下す方式。
(Wi
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.5

𠮷田恵輔監督、どこまで伸びるんだ....?現時点での総決算かつ最高傑作の更新をオリジナル脚本でやり続けている監督、邦画界でも稀有すぎて今後も推すしかない。今作も例に漏れず素晴らしかった。

『空白』も
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ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)

3.0

「統合失調症の男の懊悩を描いた殺人鬼映画」と「犬も猫も生首までも喋り出す、ポップでカラフルなライアン・レイノルズ主演のサイコキラー映画」のどちらのほうが求心力があるかという話で、企画意図はとてもよく分>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.5

劇場鑑賞した『TITANE/チタン』以来にジュリア・デュクルノー作品を観てみた。ここまで血と肉(体)への興味が尽きない人がこういう着地の話を作るのは当然だと思った。

厳格な両親(母親)に育てられたベ
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水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

4.0

高校演劇の商業映画化プロジェクトとしては『アルプススタンドのはしの方』に続く2作目。青春映画、会話劇、女性群像劇の全ての要素が多感な高校生の手によって接着された良作だった。この脚本を元々は高校生が書い>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.5

一枚絵として美しく決める映像とキャッチーな設定で、まんまと観客を釣り上げるフェミニズムホラー。何これ?な展開にはなっていくけど、どんな恐怖を見せたいか・どう考えさせたいかはかなり分かりやすいので、感想>>続きを読む

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版(1975年製作の映画)

3.5

ずっと観たかった映画をスクリーンで観られた。ふしぎの国が映らない、ふしぎの国のアリス達の寓話。

1900年ある女学校。ハンギング・ロックと呼ばれる岩場でのピクニックの最中に計4名が消息不明となった。
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

完全満席のル・シネマの最前列で鑑賞。『寝ても覚めても』以降の商業映画4作の中では一番好きだった。濱口竜介の一旦の総決算のような雰囲気もあり、名実共に世界のハマグチとなった証明の作品でもある。

濱口作
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

1.5

最悪に近い映画。表面上はドタバタコメディなのかもしれないけど物語を牽引する人物としては描き方に問題がありすぎて、観終えた後も舐めんなよとしか思えなかった。

冒頭からリンダと母親のダメダメなコミュニケ
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辰巳(2023年製作の映画)

4.0

面白かった。『ケンとカズ』は未見なのでこの監督のことは何も知らないけど、低予算でも(低予算だからこそ、か?)人の物理的な痛みと向き合って暴力を撮れる作家の映像をスクリーンで観られてとても嬉しい。

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異人たち(2023年製作の映画)

3.0

『異人たちとの夏』と同じなのは容器だけ、内容物は全取っ替えレベルの別物になっている。そこまで注目していた作品ではなかったけど、集中して一気見できる劇場鑑賞で正解だった。原作未読。

枠組みだけ拝借し、
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.0

『異人たち』に向けて初鑑賞。原作は未読だが、80年代邦画の匂いと大林作品特有のセンスオブワンダーが不思議に絡み合っていて思った以上には楽しめた。

テレビドラマの脚本を書いて生活する主人公が、亡くなっ
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本当の僕を教えて(2019年製作の映画)

3.5

85分でここまで暗澹たる気分になれるドキュメンタリーはなかなか無い。事故で記憶喪失となった双子の弟に、家族のこと、家のこと、彼自身のことを教えていく双子の兄。しかし弟が母親の部屋で顔から上が千切られた>>続きを読む

フラバー(1997年製作の映画)

2.5

『マスク』や『ホーム・アローン』や『スパイ・キッズ』といった「そういう映画」を色々混ぜたうえで最大限希釈しSFコメディとラブコメと泣ける要素(?)をちぐはぐにパッチワークしたお手軽コメディ。迷作と珍作>>続きを読む

うっかり博士の大発明/フラバァ(1961年製作の映画)

2.0

ロビン・ウィリアムズ主演『フラバー』の元ネタ。当然のように面白くなくて安心した。20世紀のディズニーが実写でSFコメディを作れば大体同じ味になるのは周知の通りで、その中に埋もれていった有象無象の一作。>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

確かにそれなりに楽しめたし、鑑賞よりも体験という言葉を使いたくなるのもとてもとても分かる。けど、流石に前作から評価跳ね上がりすぎじゃないか〜?とは思った。その辺りを紐解きたい。原作未読。

約2年半ぶ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

殆ど完璧な恋愛映画。ここ数年のオスカーノミネート作品の中では断トツで大衆の心を掴む普遍性があり、年に1〜2回劇場に行くかどうかのライト層にも自信を持っておすすめしたい。

韓国で幼少期を共に過ごし惹か
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.0

まだ懲りずにタイムループものを撮るかと疑心暗鬼で鑑賞。台詞が少なくルール説明も無いまま粛々と進む前半と、思いもよらない展開にシフトする中盤は好印象だったけど、後半で急激に興味を失ってしまった。残念。>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

【基礎知識(史実編)】
○ オッペンハイマー:理論物理学者で米国の原子爆弾開発の主導者。戦後に赤狩りに巻き込まれ公職追放となるが、米政府は後にこの処分の非を認め、名誉挽回を果たした。
○ 赤狩り:ソ連
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.5

オタク女子あるあるを乱れ打つオフビートコメディを想像していたが、起承承転結のガイドラインがきちんとあって予想以上にのめり込めた。劇場で観られて感無量だった。

2010年代青春映画の大傑作『ブックスマ
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

3.5

こんなにもアニメーションを無邪気に楽しんでいるスタジオにはもう敵わない。子どもが生まれて初めて観て楽しむアニメ映画を毎年生み出すイルミネーション、眩しく思えてきた。

楽しかった、以上。それ以外の感想
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

面白かった。閉鎖的だけど広がりがあって、はじめましての若手俳優が中心にいるため邦画っぽくない手触りだなとはすぐ思ったけど、原作が中国と分かって納得した。『夜明けのすべて』の口コミバズに続いてほしい。>>続きを読む

レモネード・マウス(2011年製作の映画)

5.0

「ディズニーチャンネル」すぎて100点。2000年代ガールズロック世代にぶっ刺さって100点。『スクール・オブ・ロック』『シング・ストリート ~』好きを一撃で仕留めに来ていて100点。学生時代 軽音楽>>続きを読む