Renさんの映画レビュー・感想・評価

Ren

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異人たち(2023年製作の映画)

3.0

『異人たちとの夏』と同じなのは容器だけ、内容物は全取っ替えレベルの別物になっている。そこまで注目していた作品ではなかったけど、集中して一気見できる劇場鑑賞で正解だった。原作未読。

枠組みだけ拝借し、
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.0

『異人たち』に向けて初鑑賞。原作は未読だが、80年代邦画の匂いと大林作品特有のセンスオブワンダーが不思議に絡み合っていて思った以上には楽しめた。

テレビドラマの脚本を書いて生活する主人公が、亡くなっ
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本当の僕を教えて(2019年製作の映画)

3.5

85分でここまで暗澹たる気分になれるドキュメンタリーはなかなか無い。事故で記憶喪失となった双子の弟に、家族のこと、家のこと、彼自身のことを教えていく双子の兄。しかし弟が母親の部屋で顔から上が千切られた>>続きを読む

フラバー(1997年製作の映画)

2.5

『マスク』や『ホーム・アローン』や『スパイ・キッズ』といった「そういう映画」を色々混ぜたうえで最大限希釈しSFコメディとラブコメと泣ける要素(?)をちぐはぐにパッチワークしたお手軽コメディ。迷作と珍作>>続きを読む

うっかり博士の大発明/フラバァ(1961年製作の映画)

2.0

ロビン・ウィリアムズ主演『フラバー』の元ネタ。当然のように面白くなくて安心した。20世紀のディズニーが実写でSFコメディを作れば大体同じ味になるのは周知の通りで、その中に埋もれていった有象無象の一作。>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

確かにそれなりに楽しめたし、鑑賞よりも体験という言葉を使いたくなるのもとてもとても分かる。けど、流石に前作から評価跳ね上がりすぎじゃないか〜?とは思った。その辺りを紐解きたい。原作未読。

約2年半ぶ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

殆ど完璧な恋愛映画。ここ数年のオスカーノミネート作品の中では断トツで大衆の心を掴む普遍性があり、年に1〜2回劇場に行くかどうかのライト層にも自信を持っておすすめしたい。

韓国で幼少期を共に過ごし惹か
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.0

まだ懲りずにタイムループものを撮るかと疑心暗鬼で鑑賞。台詞が少なくルール説明も無いまま粛々と進む前半と、思いもよらない展開にシフトする中盤は好印象だったけど、後半で急激に興味を失ってしまった。残念。>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

【基礎知識(史実編)】
○ オッペンハイマー:理論物理学者で米国の原子爆弾開発の主導者。戦後に赤狩りに巻き込まれ公職追放となるが、米政府は後にこの処分の非を認め、名誉挽回を果たした。
○ 赤狩り:ソ連
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.5

オタク女子あるあるを乱れ打つオフビートコメディを想像していたが、起承承転結のガイドラインがきちんとあって予想以上にのめり込めた。劇場で観られて感無量だった。

2010年代青春映画の大傑作『ブックスマ
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

3.5

こんなにもアニメーションを無邪気に楽しんでいるスタジオにはもう敵わない。子どもが生まれて初めて観て楽しむアニメ映画を毎年生み出すイルミネーション、眩しく思えてきた。

楽しかった、以上。それ以外の感想
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

面白かった。閉鎖的だけど広がりがあって、はじめましての若手俳優が中心にいるため邦画っぽくない手触りだなとはすぐ思ったけど、原作が中国と分かって納得した。『夜明けのすべて』の口コミバズに続いてほしい。>>続きを読む

レモネード・マウス(2011年製作の映画)

5.0

「ディズニーチャンネル」すぎて100点。2000年代ガールズロック世代にぶっ刺さって100点。『スクール・オブ・ロック』『シング・ストリート ~』好きを一撃で仕留めに来ていて100点。学生時代 軽音楽>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.0

創作なのに実在人物の伝記に感じられるような人物造形、ケイト・ブランシェットの演技と脚本の練り込みが圧巻。この人ならこうするだろうな、への気の遠くなる執着が創り上げた超現実的なフィクション。凄さは分かる>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

2.5

『コンクリート・ユートピア』と世界を共にする後日譚は、マ・ドンソク率いるディストピアSFアクションになってしまった。『新感染半島 ~』を思い出さずにはいられない。配信作品なので、『コンクリート ~』よ>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

2.5

一度ハマったら好きであり続け、一度気持ちが離れたらもうハマることは無い。ここまで露骨な作家はなかなか居ない。『フレンチ・ディスパッチ ~』以降完全に食傷気味だったが、このように短〜中編で古今東西様々な>>続きを読む

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.0

可愛い。絵本や箱庭のような可愛さではなく、おバカさんがバカなことやってバカみたいに浮かれている可愛さ。弛緩しきったゆるゆるなコメディ。

3バカトリオのグダグダ犯罪、主犯の一人が逃走中に恋に落ちる、更
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アノニマス・アニマルズ 動物の惑星(2020年製作の映画)

1.5

人間と動物の立場が逆転した世界、動物に追い詰められる人間を映した64分の小品。あまりの低評価に同情し褒めるべき点を探しながら観たけど苦心した。全編台詞&字幕無しという試みも、内容の薄さを肉付けするため>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

裁判・法廷映画の名作として今後も残っていくことは間違いないし、事実とても面白かった。夫婦、子ども、司法、果ては人間以外の存在からも真実の所在を照射し分解していくストーリーテリングが見事。

証言と証拠
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彼方に(2023年製作の映画)

2.5

今年度アカデミー短編実写映画賞ノミネート。深い喪失感、絶望、悲しみ、それらを抱えて生きることを僅か18分に収めている。野心的だし誠実なのは伝わるけど、イマイチ消化不良だった。

時間が全てを癒してくれ
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サプライズ(2011年製作の映画)

3.5

いつから僕はファニー・ザ・ハント・アローン(←元ネタ3つ分かるよね?)を観ていたのですか?詰め込まれたサービス精神という名の意味の無さ、鼻で笑っているつもりだったのにニヤニヤ楽しんでしまった。

世の
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HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

2.5

何これ?左目で『ロッキー・ホラー・ショー』を、右目で『学校の怪談』を観ているような。47年前の日本にこれが存在したという事実はとても面白いが、せめて物語をくれ。

池上季美子が可愛くて大場久美子が可愛
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.0

【ソヒョン世子毒殺事件】1645年、清での8年間に及ぶ人質生活を終えて朝鮮に帰国したソヒョン世子は、帰国後わずか2ヶ月で亡くなった。身体中が黒ずみ、耳・目・口・鼻など7つの穴から鮮血が流れ、毒殺を疑わ>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

ユダヤ人男性が実家に帰る、史上最悪の『ふしぎの国のアリス』。アリ・アスター、長編3作目でもうこのフェーズに突入したのかと感嘆せずにはいられず(ジョーダン・ピールのキャリアととても似ている)、有象無象の>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

三宅唱作品を初鑑賞。松村北斗ファン、上白石萌音ファン、社会で何か一つでも生き辛さを抱えたことのある人は映画館で観てほしい。つまり全員映画館で観てほしい。

PMS(月経前症候群)を抱える藤沢(上白石萌
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フレーミングホット!チートス物語(2023年製作の映画)

4.5

今の時代にここまで直球の面白実話映画の新作があって逆にいいの!?という超嬉しい驚き!掛け値なしにめっっちゃくちゃ面白かった!Disney+独占配信なので中々広まらないのが悔しすぎる...!

幼少期か
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

【ウルグアイ空軍機571便遭難事故】1972年10月13日、同機体がアンデス山脈に墜落した。乗員乗客45人のうち29人が死亡したが、16人は72日間に及ぶ山中でのサバイバル生活の末に生還した。
(Wi
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

これは名作。個人的には、映像作品としての豊かさ、全体の納得度、物語へののめり込みの度合いは『バービー』に勝るとも劣らない(並べて語れる作品ではあるので敢えて名前を出した)。

自死を選んだ妊娠中の女性
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.0

面白いね〜〜。そしてあの傑作ドキュメンタリー『フリーソロ』の監督作品と知り超納得した。今最も万人に広くおすすめしたいNetflix映画はもしかしたらこれかもしれない。

多くの人にとっては共感不可能な
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サウスパーク/無修正映画版(1999年製作の映画)

3.5

こんな映画ばかりになったら世界は終わりだけど、こんな映画があってもいい。サウスパークがどんなコンテンツかは知っていたけどいざ本編を観るとますます可笑しくなってしまう。

R指定カナダ映画に触発された子
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.5

これが今年度アカデミー国際長編映画賞の韓国代表作品であることを鑑みると、「家(家族・コミュニティ)×格差×ジャンルムービー」で全世界に間口を広げた『パラサイト ~』の偉大さを知り、実際それが韓国映画の>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

3.0

遊園地で一人の老人が、無視され、拒絶され、暴行される。それだけの53分間。プロローグとエピローグのおかげで枠が明確に固定されているため多様な見方をするような楽しみ方はできなかったが、駄作とは切り捨てら>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.0

超面白かった。自分はラジオ(ANN)で育っていないのでツチヤタカユキ氏の名前をそもそも初めて知ったのだが、その前提知識は特に必要なかった。社会人として生きるとは、笑いとは、を考える一途となる名作。>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.0

特に他意は無く、日本にルーツを持つ/日本(東京)に慣れ親しんだ監督なら中々こうはならないだろうなと思わせるショットの連発だった。外見は幻想のようなトーキョーシティという箱庭なのに中身は淡々とリアルな人>>続きを読む

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.5

初鑑賞。低予算でこぢんまりとした、進化前『パルプ・フィクション』のような手触りを予想していたが、意外にも『ソウ』のようなワンシチュエーション最悪人狼サスペンスでこれはこれで楽しめた。

映画は、犯罪と
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アシスタント(2019年製作の映画)

3.5

社会人新卒1年目の心にぐさぐさと突き刺さった。憧れて入社した映画業界で、自身のスキルを磨く時間も無く雑務とハラスメントに消費されていく女性の1日をドキュメンタリータッチで描いた佳作。

新人だから/女
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