田山信行

きさらぎ駅の田山信行のレビュー・感想・評価

きさらぎ駅(2022年製作の映画)
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『真・鮫島事件』よりはちゃんと脈絡あって。でも異世界ホラーってどうやりゃ良いんだよ?!という有り体の幽霊とかに頼れない感じが。ハリウッドばりの予算があればクリーチャーとか出せるんだろうが。そうなるとサイレント・ヒルか。

話に聞いてた通りにきさらぎ駅へ行けた!っていう展開を知った上で強くてニューゲーム的な構成が面白い。でも最初にエピソードとして聞く回想シーンの方がPOVなの?っていう。

オチまでなかなか皮肉が効いてて良かった。上手く現代的にアレンジされてると思う。元々の発祥が2004年か。ネットの都市伝説が盛り上がっていたのもだいぶ昔だけどなぜ今さら……。永江監督が2ちゃんねるの呪いなんて撮ってたのも10年前だ。

この作品におけるPOVやら(というより昨今の実況動画なんかに近いと思うが)
『真・鮫島事件』におけるデバイスホラーなど、ホラー映画における表現が低予算でも応用できるものが増えたこと、掲示板から動画配信へとネットの有り様の変化など色々な要因があって、また今なら少し古びてきたネット都市伝説を新たな切り口で見せられるかも……。

ということなのだろうか、ネット都市伝説の映画化がまたにわかに増えてきたのは。しかしネタが古いしまた同等に盛り上がる新たな都市伝説が生まれないとまたすぐ絶えるのでは。でも今のネットを賑わすのはオカルトじゃない様な気がする。

口伝から書物、演劇から映像へ、そしてゲーム、インターネットへと。時代を経て形を変えながら連綿と途切れることなく語り継がれてきた恐怖。ネットで生まれた都市伝説もその中へ循環されていくものになったのかと思うと面白い。
田山信行

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