ポリティカル・コレクトネスの理念そのものは間違ってはいない、が。それを扱うに間違いを犯す危惧はある。一定の正しさへと偏ってしまう危険性も。だがそこへ陥らない語り口の作品が出てくるのは、さすがは腐ったとてハリウッドか。
これほど嫌な想像力を巡らせなければならない映画もあるまい。現実でアプローチするにも大事なことだよ、想像すること。アウシュヴィッツの実際を知るのは先でも後でも構わない。
そして誰もが当事者なんだと。自分ではない誰かや遠い国や過去の歴史へ押し込めてはいかんのだと。誰もが被害者にも加害者にも成りうることを考えてみるべきだ。
まぁ映画をいくら観たところで学びになどならんし大して人間の本質なんて変わっちゃいねえよとも思うけどな。実際のルドルフ・ヘスの手記の刊行は50年以上も前だ。