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オードリー・ヘプバーンのjekのネタバレレビュー・内容・結末

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

オードリー・ヘップバーンの人生を描いたドキュメンタリー映画。人生を振り返る数々の映像、映画のシーン、本人のコメントに加え、家族や友人たちが彼女について語る。

その瞬間を見ると、誰もが自分も微笑んでしまうようなあの唯一無二の笑顔。その裏側にある自信のなさを克服しようとする努力の姿と知られざる悲しみ。ジバンシーとの魂のつながりから生まれた数々の衣装を身にまとう芸術的な美しさの一方で、衣装が演じるうえで彼女にとってどれだけ重要なものだったのかなどが語られていく。

出演した映画のエピソードも多く紹介されるが、中盤に登場する
映画の「ティファニーで朝食を」のエピソードは、それまでの彼女の人生と合わさり印象的だった。小説とは異なるけれど、オードリーのホリーは、悲しみや苦しみを知っていいて、生まれもった気品とともに生み出された彼女にしかできないホリー。冒頭のタクシーからでてきた黒のイブニングドレスの姿は、まさに立っているだけでパリを表現していた。ムーンリバーのシーンがカットされようとされていたとは。オードリーが守ってくれてよかった。あのシーンがあるからこぞ、ホリーに共感し何度も見たくなる映画となったのだ。

「世界中の人に愛されたいのに、だれよりも愛されたいと願っていた。」
「彼女は闘おうとする」
「最後は自分を愛することができた」
などなど、彼女の身近の人々がそれぞれの言葉でオードリーを語る数々の言葉が心に響く。

苦しみや耐え難い経験を前に進む力に変え、愛されたいという願いを自分が無条件に人を愛することに尽くすことで、最後は自分を愛することができた、そういう彼女の人生そのものが生きる強さを与えてくれる。表面の笑顔の美しさだけではなく、スクリーンから彼女が無条件の愛を送ってくれるからこそ、彼女の映画は長く愛されているのではないかと感じた。

また彼女の映画を見たくなった。
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