Kamomy

マイ・ブロークン・マリコのKamomyのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
4.5
親友がマンションから飛び降り自殺をした。
彼女の父は最低な人間。
せめて亡骸だけは私が守る!なヒューマン映画。

とても良かった。
癖強かったら合わないかも?と心配していましたが、全ての展開に感情移入し、ところどころ泣いた。

永野芽郁ちゃんは大好きですが、最初は「芽郁ちゃんには渋い役すぎ?可愛さが邪魔かも…」と。
ただ彼女なりに『しいちゃん』を演じ切っていて<俳優永野芽郁ここにあり。>喫煙シーンがとても良き。

ただやっぱり顔が可愛くて品があるのはどうしようもないので、彼女にわざわざあの汚い言葉遣いをさせなくてもなとは思った。
それ以外の演技で充分しいちゃんだったから。雰囲気的には木南晴夏、満島ひかりあたりが合う役どころを良く演じきったよ。

奈緒さんも凄く!良かった。確実にマリコだった。弱くて優しくて儚くて…終始圧倒されて、奈緒さんに対するイメージが変わった。

あとは言わずもがなの窪田正孝くんの素晴らしさね。彼もマキオでしかなかった。半年前にあの土地に行き着いた男でしかなかった。「大丈夫に見えます。」が効くこと効くこと。声の出し方も良すぎた。
窪田くんあれで狂気もできるじゃない?カメレオン俳優すぎてどの作品を観ても尊敬します。

ちなみに登場した俳優さん方、全員上手だった。だからこそ作品に自然と入り込めた。
マリコとしいちゃんの子供時代の2人も素晴らしくて末恐ろしいくらいだった。

お話自体もとても好み。
途中あるトラウマが蘇って辛い気持ちになっていたが、
「醜い彼らの弱さを全部しいちゃんにぶつけてただけ。マリコは何も悪くない。」(うろ覚え)ってところですごく救われて肩の荷が降りた感覚がした。

終始、マリコとしいちゃんの友情がリアルで美しかったし、登場人物一人一人が実際にもいそうで。やはりタナダユキ監督作は好きだな〜と劇場鑑賞を決めた自分を褒めたい気分。なんだか妙に元気出た。

こんなに素敵で、いまの自分が欲してた作品を観られたのにうまくまとめられなくて悔しい。とにかくおすすめです。
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