ハレルヤ

マイ・ブロークン・マリコのハレルヤのレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.8
学生時代の友人のマリコが死亡したというニュースに衝撃を受けたシイノ。暴力的な父親のせいで人生を狂わされたマリコの遺骨を強奪したシイノは、マリコがかつて行きたいと言っていた海へと向かうヒューマンドラマ。

あらすじを見るとなかなか異色の物語。興味津々で鑑賞してみました。

永野芽郁の熱演に魅了された1時間半でしたね。それまでのイメージを引っくり返すちょっと汚い言葉遣いにタバコ吸い、相手が誰であろうと強気で立ち向かう。その一方で友人の死を防げなかった事で葛藤する姿もある。彼女自身も撮影の1年近く前から役作りを始めていたという話もあり、相当な熱量が映像越しに感じられました。

亡くなったマリコとの最後の約束。過去の出来事を回想しながら楽しかった事、辛い事、苦い思い出などの振り返り。そこでマリコがそれまでどんな壮絶な人生を送っていたかをシイノの目線で描かれます。

父親からの虐待、母親も逃げてしまい誰からも救いがなかったマリコ。付き合った男も酷い人間ばかりで、そんな中で助けだったのがシイノ。彼女との日々のやり取り。手紙などで仲を深めていったのがよく分かります。

道中で出会ったマキオの存在も本作の良いところの1つ。ひったくりに遭ったシイノの助けになっただけでなく、終盤でも大きな役割を果たします。ちょっとコミカルなキャラクターでありつつ、自身も実は過去に負い目がある役柄。窪田正孝が見事に体現していたと思います。

ロケ地になった青森県の美しい海と空も注目ポイント。青森県へは行った事はありませんが、一度この場に行ってみたいなと思えるほどのものでした。

児童虐待や複雑な家庭環境、恋人からのDV、そしてコメディ調だけどブラック企業の実態。重めのテーマを扱いながらロードムービーとしての面白味。友情と命を救えなかった贖罪からの取り戻し。都合の良い場面もありましたが85分でこの密度。なかなか見応えのあった作品でしたね。
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