1964年公開。殺人事件の容疑者から強引に自白を引き出した後にアリバイを証明する証拠品が出現。目前に迫った死刑が執行される前に真相を突き止めようと奔走する見廻り役人たちの奮闘を描く。地道な捜査が展開される様子は、まるで舞台を江戸に移した「警視庁物語」の様でめちゃくちゃ面白い。リーダーシップ&安定感に溢れる激シブの西村晃、穏やかなベテランの加藤嘉、クールに見えてハートは熱い穂高稔、正義感が強く青臭いルーキー松方弘樹(ツルツル)など、チーム編成がまんま刑事ドラマのそれ。スラム街のシーンはオープンセットが素晴らしく、モノクロの映像と相俟って凄味がある。全般に渡りアングルやライティングに拘りが感じられる撮影も良いなあと思ったら、前年公開の『十三人の刺客』でその映像に感心した鈴木重平のカメラであった。パーカッションとパーカッシブなピアノというミニマルな音構成に、尺八による不穏な旋律が絡む劇伴も効果的。94分。